あなたの知らない商店街

路面店をやっているので商店街に入っている。商店街というのは異業種交流会のようなもので、とても面白い組織形態なのだが普通の人がその中の様子をうかがいしる機会は少ない。また、中の人はそれが普通だと思っているので、外部に対して言う機会も、また動機もないだろう。昨今、商店街というとシャッター商店街だとかネガティブな情報が多いが、どれも外から見た外面的なレポートばかりだ。
おととい商店街の総会があったので自分のいる商店街しか知らないが、内側からレポートをしてみようと思う。
(゚д゚)<はい、こちら現場のくいっぱです!

商店街時間

「じゃぁ次回の打ち合わせは3ヶ月後ね」
会社勤めの人にはにわかに信じられないかもしれないが、そもそもみんなで集まるなどという機会は年に1回、お祭りのときにあるかないかぐらい。もちろん物理的にご近所なので顔を合わせはするが、みんなが一同に会するということはない。なので打ち合わせのスパンや物事の進行というのが数ヶ月単位、年単位になる。

名字ではなく名前

40歳、50歳になっても名前で〜〜くんとか、〜〜ちゃんと呼ばれる。最初は違和感を感じたが、家族経営が多く名字では識別できないので合理的。ガキの頃からの知られているとかの名残もあるのだろう。ちなみに、うちはまだ新参ものの初代なので名字でござる。

合議制

商店街会長というのは存在するが任意団体なので最終責任者というものは存在しない。隣の商店街はLLCだかで法人化している。商店街はそのものずばりLLCの組織形態に近く、責任はそれぞれのお店に帰するのでトップが意思決定をしたところで、誰かが反対すれば実現しない。
普通の株式会社であれば意思決定はただの承認プロセスになるが、商店街では提案や意見を動議して合議をはかるという形になる。新しいことをやろうとすると説明と説得が大変なので、殆どの場合慣例に従う。

商店街の構成

うちの商店街の場合、三鷹駅前通り沿いの南半分(約500m)に並ぶお店で構成されている。強制加入ではない。
この地域では美容院や床屋さん、クリーニング屋さんが多い。商店街に入るまでは知らなかったが、お医者さんや、歯科医の方でも商店街に入っていらっしゃる。チェーン店は本部の意向によってわかれるが入らない傾向がある。事務所や法人でも加盟しているところはある。銀行、信金、上場クラス(NTTさんとか)の会社となると大口会員でご参加いただいている。
個人やマンションの組合などが賛助会員になっていることもある。個人で加盟されているような方はかつてお店をやっていた個人や地主(マンションオーナー)が多い。

商店街のお金

うちの商店街の会費は月2000円である。諸会費としては地味に高い。賛助会員は500円。
最初は何に使われているのかと訝しくおもったが、大部分は街路灯などへの電気代や、街路灯が壊れたときのための積立などにまわる。商店街に入るまでは知らなかったのだが、街路灯などは商店街が管理しているのだそうだ。
電気代だけで年間100万円ぐらいする。電気代の80%までは東京都や市から補助が出るが、壊れると予算内での消化が無理なので、積み立てていくことになる。LEDへの切り替えなども一度にはできないので、すこしづつやっていく。
後は商店街で売り出しを打ったりする。収入は会費や、事業収入、寄付、そして助成金である。
なにせ組織構成がみんな商売人なのでお金の管理は結構ちゃんとしている。決算書が公開されるし、監査もある。

防犯防災と商店街の役割

街路灯もそうだが、商店街が街に担う役割というのはとても大きいとおもう。何かが起きたら真っ先に駆けつけられるのはお店の人達だし、粗暴犯や侵入盗を未然に防ぐ役割というのも大きいだろう。困ってる人や怪しい人がいたら声を掛ける。学校やPTAと連携したり、消防と連携したり、警察や役所と情報共有がされている。そういう、地味なホットスタンバイが町の治安や住みやすさを上げるのだと思う。商店街が無くなれば物理的にも街が暗くなるのだと知った。

お祭りと商店街

商店街に参加するまではお祭りというのは縁日の事だと思っていた。御神輿の担ぎ方もしらなければ、神酒所がなんだとか、どこでやってるのかもしらなかった。単なる宗教的な行事で檀家さんとか氏子さんがやっているだけのものだと思っていた。参加するようになって視点が変わった。それを事故がないように運営している人達がいたのだと知った。そしてお祭りというのは、災害時の模擬を兼ねているのかなと考え至たるようになった。
お祭りでは商店主や地域住人が、協力して準備をしたり、屋外でテントを組んだり、神輿を担いだり、備品や設備を毎年メンテナンスしたり、トビの人達との連携があったり、遠くの町会や商店街にご挨拶したりする。これは同時に有事の際に連携や対応で戸惑うことないようにするために必要なことだ。当人達は意識していないかもしれないが、これはリスクマネジメント、事業継続計画(BCP)としてもとても重要なことだ。それを楽しみながらやろうという昔ながらの知恵なのではないだろうか。考えすぎかな?
世界各地にお祭りというものはあるが、それぞれの地域に特色がある。だが農業などが盛んな地域ではそのようなお祭りになるし、三鷹では防災色を感ずるお祭りになるのではないだろうか。(※三鷹は江戸時代の明暦の大火[振りそで火事]、関東大震災東京大空襲で中心部から移り住んだ人達が街の基礎を築いたといわれている)

商店街と町内会

この付近には町内会というものが無い。なので商店街が実質、町内会に相当するものとして機能している。
「都会は冷たいところだ!隣に住む人も誰だか知らない!!」などと揶揄されるが、実際問題として隣にはだれが住んでいるのかを把握するのは困難だ。誰が住んでいるか以前に、両隣がビルでは、いったいそこに何人住んでいるのかもわからない。
町内会はせいぜい数百人ぐらいで機能するものだとすると、それはマンションの組合一つ程度にしかならない。地域を面で抑えるには商店街のような路面店が機能するよりないと思う。クロスファンクショナル!

商店街と類似組織

三鷹市内だけで大小30ぐらいの商店街があるそうだ。三鷹駅前商店街、中央通り商店街、南銀座商店街、西銀座商店街、さくら通り商店街など、主に通り沿いで商店街がわかれている。それ以外にも商業団体としては、いろいろな組織がある。どれも似て非なるもの。喩えば商工会と商工会議所は別物だし、青年部や青年会、青年会議所も違うそうだ。さすがによくわからない。商店街のお店でも商工会に参加している人もいるし、いない人も居る。飲食店組合だとか、医師会だとか、法人会だとか、類似組織をあげだしたらキリがない。微妙に絡み合ってそれぞれの目的をもって運営されている。

そのなかで唯一、商店街は物理的に近いからというわかりやすさがある。
近くにいるからその地域をよくしましょうという目的もわかりやすい。

つづくかも

商店街は事業継承問題だとか衰退がどうこうと言われたりする。
これら問題点の本質や対応アイディアも浮かぶけど長くなりそうなのでまた今度!



街の素敵な発展をお茶葉の影から応援しています

ω゚) ジー