原発、電力、いじめとトップダウンとボトムアップ

トップダウンは効率がいい、しかし、間違ったことを効率よくやることがある


ボトムアップで何かが決まることはあまりない、だから、大きくは間違いようもない



トップダウンで決まったことをボトムアップで変更することはクソむずい。
そこでボトムにしわ寄せがくるとなんとかしてトップを変えようとする。選挙であったり革命であったり場所や時代によっては血がながれたり流れなかったりして、力のあるものがトップになる。サルの時代から原理はあまりかわっていない。



原発運動というものを考えてみる。

原発運動、つまり反体制から力をつけて、トップになるものが出るだろうか?
おそらく出ない。
オカルトマーケティングや喧伝により、現在の体制の中でそれなりに力をつけるものはでるだろうが、それは体制のトップにはなりえない。短期で見分けるのは難しい程度に迷彩のうまい人物が清濁併せ呑み、力をつける可能性はあるが、それは時運を好機として利用した程度のエピソードにとどまるだろう。


賛成派
	直接の利害関係者
		給料さがるの嫌です
		補助金をもらっているよ
		天下り先必要です
		あぁ、わしの企業年金がぁぁ

	経済が心配派
		貿易赤字ひどくなるよ
		産業を支えるのに必要だよ
		エネルギー安定がやばいよ
		原発が資産から負債になると電力会社会計上やばいよ
		電力会社飛ぶと銀行もやばいよ

	コスト合理派
		原発止めても発電させるのと変わらない保守が必要だよ

	軍備派
		核武装に必要なんだよ

	トンデモ派
		人間が進化すれば問題ない

反体派
	自然災害派
		大きな地震がまたおきるよ
		地殻変動で地震おきやすくなっているよ
		津波もおきるよ
		噴火もおきるよ

	安全対策がまだ疑問だよ派
		フクシマと同じことが起きてもまた対応できないよね
		まだディザスターリカバー目処もたってないよね
		地震で壊れるオンボロなんじゃね
		事故対応お粗末すぎたよ
		事故原因の調査もお粗末じゃね

	コスト合理派
		いい機会だしクリーンエネルギーに投資したら?

	安全保障上の懸念派
		標的としてチョロすぎだよ

	判断保留派
		断片的にしかでてこない情報から判断できるわけないじゃん

	脊髄反射反対派
		ともかく原子力とかなにそれ怖い

※ちょっと考えてみた樹形図



2chの元管理人ひろゆきは、次の選挙がポイントなんじゃないのと言っている。トップダウンで決まったものはトップダウンでしか覆せないというのにはじつに論理的だ。

原発運動を成功させる方法。
http://hiro.asks.jp/86730.html


だが、日本では選挙という制度で意思決定ができるトップが決まっているのか考えると、それもまたあまり愉快ではない結論になる。ぶっちゃけ政治家が誰だろうが明日の飯がどうなるわけでもない諦観がある。
例えば選挙をやったとしても、原発反対という人が本当に反対しているのか、ポーズとして反対しているのかも区別がつきやしない。政治家には規格もなければ瑕疵担保責任もない。政治家がクルマなら、このクルマは動くのかハリボテなのかもわからない。ポスター一枚で選ばないといけない。買わないとわからないけど買ってみたらナンダコレハ!状態でもそれを裁く仕組みはない。



選挙がどういうものか考えてみよう。

毎年の日本の国家予算を80兆円とし、有権者数を約1億人とすると、一人あたりの分配権限は784,000円に相当することになる。国政選挙なんて数年に一回なので、一回の選挙で数百万円分の権利を政治家に託しておるわけだ。
だけれども投票用紙を1万円札にしたらかなりの数の人はそのまま持って帰るんじゃないかと思う。他では黙って毎年平均百万を越す税金を支払っていても、源泉とかでよくわからないうちに取られて、よくわからないところでその使い道が決まっているものの使い道よりも目先の1万のほうがシビアなんだ。



一万円を包みたくなる政治家いるかい?




いないな。だけれども建前としては個人あたり毎年100万円近くの予算権限を彼らに委託していることになる。その予算の淵源はすでに回収された税金か我々の将来価値だ。やれやれ。名目と実質が著しくあっていない。


どこかがおかしい。
選挙というプロセスの価値が毀損しているか、政治家というものの権限が実際はないか、それとも国家予算の評価がおかしいか、なにかしら理由がありそうだ。



他の国だと、選挙で政権が変わると、政策を担当しているエリート層の入れ替わりがあるが日本ではそれがないので、官僚のお飾りになっていて、同じひとが実務を握ったままだから運営が変わるわけでもないとか、検察官起訴による有罪率は99.9%で無罪判決は0.005だとかで三権分立もされていないとか、なんちゃらかんちゃらで実際政治家に予算権限なんかないのが主な理由なのではないかと思う。もしくはその複合か。


ほぼすべての人がすでに既存の仕組みのなかに組み込まれている。マイノリティさえ、犯罪者でさえ体制に組み込まれた利害関係者だ。何かを議論しようとしたときに、各論で少数派になることはあれど、総論では多数派になる。


いじめ的社会

社会性動物の群れになんらかのストレスが与えられると、もっとも影響が少ない少数派から切り捨てがはじまる。切り捨てが始まるというと聞こえが悪かもしれないが、他人を思いやる余裕がなくなるというのが正しいかもしれない。例えば、学校でいじめなどが始まったときに、次に警戒するのは自分が暴力のターゲットになるかもしれない事であり、それを忌避するための行動が他人を救うより上位にくる。
自分を強く見せるための示威ディスプレイはたいていの動物にはつきものでなくせるようなものでも、なくすものでもない。暴力が常態化したり、同じ対象に向いてしまうようではそれは示威行動とはいえず個体として一緒いしておいてはいけない類だ。そこに陰湿化や隠蔽化が当事者間ではない別の問題ではさまりこむといじめという問題に発展する。



事故はおきるものだ。



おきた事故にたいして、責任を追求されたくないために、利害関係を曲げたりして筋を通さない。スジを通さないというと任侠道っぽいが、そういう通されなかったスジのシワはどこかに寄るわけで、いま、もしくはこれから世界でおきようとしていることはそういうもののツケ払いなのかもしれないねと。




規制当局のありかた

本来、政府などの規制当局は産業の競争レベルをあげるために存在する。市場の競争レベルがあがることで製品の品質や安全性があがり価格はさがり、消費者への社会的厚生状態が高い状態になる。


電力は現在のところ完全な独占市場として構成されている。規制当局による参入障壁、また規模の経済による参入障壁などの鉄壁の参入障壁が存在するため電力業界への新規参入の脅威から隔絶した状態にある。
ここで注意深く見守りたいのは、規制当局による介入が新規参入障壁として作用している点だ。安い電力を安定的に供給するのは社会的厚生が高い状態であるといえるが、その安さが将来負担への先送りになっていただけなのではないかという疑念が生ずる。



原子力発電所はとてつもなく長い期間みなければ減価償却できない、「超耐久消費財」だ。耐久消費財の特質は壊すのにも維持するのにも金がかかる点だが原発の場合は壊しても金がかかり続けるところが厄介なのだ。


30年動かすことを前提につくられた原発を10年で止めれば、資産であったものが負債にかわる。いきなり電力会社は債務超過に陥ることになる。債務超過で電力会社が破綻したとしても、原子力発電所は保守をしなければならないし、核燃料廃棄設備は安全に最上級の注意を持って保守されなければならない。


この廃棄物の処理という評価をどのようにするかで原子力発電というものの将来価値に大きな影響を与える。そのコスト計算に事故対応費や廃棄損をどのように見積もるのか、破局的事故がおきてしまった場合、そのリスクアセスメントはいち民営会社として許容しうるのか。また国家として許容しうるのか。そこに住まう国民はステークホルダーであり利害関係者はどの生活へのダメージをどのように吸収すべきなのか。


今回はあのような原発の事故だったが、廃棄設備の事故の場合はどうなるか、はたまた格納容器が大規模破損するようなさらに深刻な事故がおきていたらどうなるのか。規制当局はその価値評価を真摯におこなわなければならない。あと30年もすれば日本の就労人口は2/3になる。そのなかで、その維持がはたしてできるのか。10年後も古いものを使い続けられるような投資をして後発の国と競争力を維持できるのか?
そのうえでどのような規制が妥当だったのかを評価してもらいたいもんじゃわぃのぅと思うのでありました。



個人で地震データベースをつくって、うりうりしてたのだけど、マグニチュード9の地震がおきると、M7クラスなら500〜1000キロくらいは平気で飛びます。結構露骨な数値で顕著にバックテストでも知ることができる。M7クラスで計算すれば金利より高いオーダーだったと記憶してるんだけど、再稼働とかの判断の環境としてその確率変動わかってんのだろーか?と、ちょっと不安に思うのでした。

http://kuippa.com/blog/2011/12/04/%e5%9c%b0%e9%9c%87%e5%89%8d%e5%be%8c%e9%96%a2%e4%bf%82/
http://kuippa.com/blog/2011/05/13/%ef%bc%93%ef%bc%90%e5%b9%b4%e3%81%a7%ef%bc%98%ef%bc%97%ef%bc%85%e3%81%8b%e3%82%82%e3%81%a0%e3%81%91%e3%81%a9%e4%b8%80%e6%9c%88%e3%81%a0%e3%81%a8%ef%bc%92%ef%bc%8e%ef%bc%94%ef%bc%85%e3%81%a0%e3%81%a3/