えぇー40歳で引退だって?じゃぁボクも引退なんだねカツオくん?

いやだなぁ、マスオさんは28歳じゃないか。*1
40歳どころか、プログラマなんて35歳定年制だっつうの。

雇用流動化へ「40歳定年を」 政府が長期ビジョン
http://www.nikkei.com/article/DGXNZO43478440X00C12A7EA2000/
管理職に変わる人が増える40歳での定年制もできる柔軟な雇用ルールを求めた。
...
もっとも定年制の前倒しには労働者の強い反発が必至だ。


原文を読んだら、あらあらあら、なんでこんな記事になっちゃったかなという感じ。
労使の対立構造にもっていきたかったのかな?

内閣官房 国家戦略室 フロンティア分科会
http://www.npu.go.jp/policy/policy04/archive06.html
第4回 フロンティア分科会 配布資料
http://www.npu.go.jp/policy/policy04/archive06_04.html#haifu
資料3  繁栄のフロンティア部会報告書
http://www.npu.go.jp/policy/policy04/pdf/20120706/shiryo3.pdf

バラ色の未来だー的な提言から始まっていて、目指すべき 2050 年の繁栄の姿 が実現できなさそう過ぎて涙がでてくる。「40歳で引退」という見出しがいかに釣りかはこの配布資料を読めばわかるのだが、実際それで興味がでて本文までたどり着いたので日経グッジョブというべき、なのか・・・?


理想や解决策は人によって大きく違いがあろうが、ここで問題として提議されている環境予測について異論のある人はあまりいないのではないだろうか。
この部分がよく書かれているが、文中で「こういう問題があるので、こういう風に解決したい」と、五月雨式にかかれていて、まとめられていない。


だが理想ということは裏返せば今はそうなっていないという事だ。
なんで、現状理解のために裏返してみた。


理想が多いぶん、弱みばかりになってしまった・・・
ちょっとSWOT分析的にかいてみた〜



外部環境

機会

情報技術・輸送技術の進展により、国境を越えた経済活動は今よりも一層飛躍的に増大
世界全体の人口増加
新興国発展途上国の経済成長

脅威

新興国との価格競争
資源・エネルギー、原油価格、食料価格高騰
産業空洞化、経済活動、人材、富の海外流出
日本の経済力の縮小による、国際社会における存在感の急速な低下

内部環境

強み

高齢化、防災等の対策
日本人の底力(潜在力)

弱み

人口減少。20歳から65歳までの生産年齢人口は半減
人口構成。急速な高齢化、人口の逆ピラミッド化
資源・エネルギー制約や環境問題
経済成長率がマイナスが予想され国民の所得や消費は低迷、全般的な貧困化
将来現状の生活水準を維持できそうにない
高齢化が急速に進み現役世代がより少なくなるため、高齢者層の生活を支えることは著しく困難
国内における国債消化も難しくなり金融・経済危機、経済・財政・社会保障が破綻する恐れ
民間の活力・創意工夫を阻む政治・経済・社会の制度
政府が特定の分野を決めて資源を集約させることへの限界と弊害
先進国であり明確な目標となるような国が存在しない
世界で活躍する人材がいない
学び直しできるというセーフティーネットがない
解雇・転職が怖い社会
環境変化に適応できない個々人
地方が世界の多様性とつながっていない
全ての世代に安定した働き場所が提供されている新産業がない
真面目にやって“失敗”した人々に再チャレンジが広く認められる社会となっていない
失敗・挫折が評価されるような環境がない
海外からの自由な投資を引きつけられていない
過度な社会保障給付やしがらみのある歳出を抑制・カットする強い姿勢がない
海外人材から魅力的と思われていない、誘致できない
日本の叡智を結集し、イノベーションを次々と創出することができていない
海洋にある豊富な資源を眠らせたままだ
国際的なルールメーキングに積極的に関与していけるような体制がない
強固な世界的人的ネットワークの形成がされていない
世界的な競争が平等にできるビジネス環境の整備がされていない
社会保障に約 30 兆円支出する一方、次世代への投資である教育には約4兆円か投じられていない
マイナンバー制度の導入ができておらず国民の適正な所得把握ができていない
雇用調整助成金により敗退すべき衰退産業産業、企業が延命されている
未来を搾取する社会になっている
介護産業等に就職するには、社会福祉士介護福祉士ホームヘルパー等の資格取得が必要となっている場合が多く、中高齢者や女性が介護等の職業に転職する上で、難しい資格取得が障壁となっている
保育士資格などの資格要件が強化され職業が硬直させられている
職業紹介業など民間参入の裁量が狭い
第3号被保険者の適用要件が女性就労の壁となっている
労使間の交渉で定年年齢を設定することができない
暗記博士が認められ、より創造的な発想ができる人を評価できる教育体制がない
大学の質的充実に向けたインセンティブが働きやすい環境がない
自治体の努力と創意工夫を最大限に引き出すための自治体裁量がない
自治体の執行について事後的な成果評価をする仕組みがない
東京圏と地方との格差がひどい
グローバル人材を各地方で積極的に受け入れていく体制がない
成長の源泉である民間の活力が奪われている
成長性の低い分野から高い分野へ生産要素のシフトがなされない
多くの労力を注いでも既得権益の壁を突破できず規制改革することが難しい
農業を成長・輸出産業にすることができていない
待機児童や待機老人のように参入規制により供給が制限されている分野・地域が存在する
先進諸国と比較して非製造業の海外展開が遅れている
生活保護費は約 3.5 兆円と 10 年前から約 1.5 兆円も拡大している
高齢者医療や介護制度のために多額の公費を投入されている





弱みの部分、重複、類似がかなりあるのでもう少しまとめられそう。


紅茶屋さんの個人的所感

いやー、弱みばっかりだね。内閣官房 国家戦略室がつくってるのに、ほとんどが最終的には現状の制度上の弊害を指摘しているとか。まあ、だからこう変えましょうという提言なのでしょう。


新陳代謝という文字が多く踊っていましたが、新規参入により市場が活性化するのはその産業が他の産業より1社でも標準より高い利益を得ている会社がある場合のみだけです。問題はそこ。
政府などの”規制当局”は、産業やマーケットを完全競争に押上げ、社会的厚生を最大限に押し上げるように機能します。だけれども日本の規制当局は、独占的市場、例えば電力業界など非常にわかりやすいですだが、独占企業、または寡占企業の参入障壁として保護するために機能しているようです。
放送業界、医療、薬事、保育、金融、自動車、不動産、農業、冠婚葬祭、理容、教育、マッサージに至るまでもうなんでもいいですけど、新規参入をしようとしたときに、先行企業の意図的な抑止よりも先に法手続きとしての、参入がそもそもできないものばかりです。なにをやるにしても資格や免許が必要であります。


社会的厚生が高い状態であるとは、消費者が安くいいものやサービスを手にいれられる状態のことです。
完全競争状態である市場は、寡占状態である市場よりも消費者がうける恩恵は大きくなります。そのため規制当局は企業が独占や寡占にならぬよう、法律や監視監督により競争状態を高い状態にするようになります。その結果、企業の利益は他の業界と同水準にまで押し下げられ、産業として成熟します。逆に企業はマーケットの独占者になるべくモノポリーを目指すわけです。



で、やっぱり問題はここなのです。モノポリーである企業を諌めるのが規制当局なのですが、日本の場合はモノポリー側についています。しかも消費者を守るという名目で。明治維新と財閥にまでなった政商を考えれば近代日本の成り立ちとしていたしかたないのですが、社会的厚生をあげるための規制当局が、企業の寡占市場を守るためのもの一定の既得権益を保護するための新規参入規制当局として機能しています。これが硬直性の主な理由で世界で最も成功した社会主義国とまで言われる所以です。別に生活するうえでは、社会主義でも共産主義でも新自由主義でもなんで回ってりゃいいんだけど、回らなくなったら適時変えてくれよなって感じです。いまはそれをどう呼称するのかはわかりませんが、人口縮小段階において、暗黙的談合を規制当局がやったままなのが回らなくなっている主な原因なのではないかと思っています。


電力業界などを見ればわかりやすいですよね。政府規制により「社会的厚生」があがるんじゃなくて「会社の福利厚生」があがっちゃってます。笑えないんですけど、笑い話しみたいだけど。独占企業の利益は押し下げられず適切な競争がなされないための規制当局になってます。


海外からはここらへんのキセーがとても奇異に見えるようで、よく書かれているのを目にします。
最近読んだ本にいくつか事例がかかれてたので、ちょっと例を拾うよ!


日本のビール製造業界についての記述があり、とてもおもしろかったのでご紹介。
酒類の業界は、ビールの製造免許をとるには、財務省から製造免許を取らなければなりませんが、製造免許を受けたのち1年以内に350ml缶で17万本の最低製造数量基準を満たさなければいけないそうです。(本では、申請するのにと書かれていましたが、今日現在の最新を調べたら「1年後には」になっていました。大蔵省とあったので、地ビールとか騒がれたタイミングで緩和されたのかな?)

もうひとつの例、スロットマシン。
外国の企業が参入しようとしたが、日本のスロットマシンの基準に合致せず排除されてしまった。この基準は業界団体のメンバーにしか知らされず、その業界団体のメンバーになるには日本で3年以上スロットマシンの製造をおこなっていなければならないそうだ。



つまり、矛盾する条項により守っているわけですね。日本で生活とか商売とかしていると、ある、あるこういうの!みたいな心当たり多くありますよね。そもそも規制や法律、附則同士が矛盾してなんだこれみたいな。アメリカだとこういうのをキャッチ22っていうんだって。板挟みサンドイッチ状態。法の不遡及で、すでにいる人を守らるようなバリケード



まあ、こういう既得権益も、それでうまく回っている間はガラパゴス化結構なのだけど、回らなくなると、競争力とは別のところで進化しちゃった競争力のない生き物だらけで、なにかの拍子にまとめて絶滅ということになるので怖い。他の会社に行ったらなんの役にもたたない仕事で熟練しちゃったみたいな。つぶし効かないじゃないですか。



使えない人材を大量につくりだして、全体として生産性を下げていては利用者の厚生は守られず、業界でみても国際競争力も同時に奪われることになる。かなしいね。かなしい坂だ。

かなしい坂 由来
http://genki365.net/gnkf04/pub/sheet.php?id=287
玉川上水の工事(略)掘削して導水していました。しかし水はこの坂あたりで地中に浸透してしまい、工事は失敗に終わってしまったとされています。この工事の責任を問われて処刑された役人たちが、「かなしい」と嘆いたことからこの名がついた

昔の公金をあずかる役人はしくじると処刑されてたんだけどな。



まあ、また規制緩和しようというと揉めるんだろうねー。
議論レベルでぐらいなら揉めたほうがいいと思うけどね。個人的には。




他参考

内閣官房 国家戦略室 フロンティア分科会

◎柳川 範之  東京大学教授 大学院経済学研究科・経済学部 
○武田 洋子  三菱総合研究所 政策・経済研究センター主席研究員 /チーフエコノミスト
秋山 咲恵  株式会社サキコーポレーション 代表取締役社長 
井川 直樹  愛媛パッケージ株式会社 代表取締役社長 
鎌田  由美子              東日本旅客鉄道株式会社 事業創造本部地域活性化部門部長 
川上 量生  株式会社ドワンゴ 代表取締役会長 
小松  万希子             小松ばね工業株式会社 取締役社長 
齋藤ウィリアム浩幸  株式会社インテカー創業者兼最高経営責任者 
瀬田 史彦  大阪市立大学 大学院創造都市研究科 准教授 
戸堂 康之  東京大学教授 大学院新領域創成科学研究科 
南部 友成    経済産業省経済産業政策局産業構造課課長補佐 
新浪 剛史  株式会社ローソン 代表取締役社長CEO 
星野 佳路  株式会社星野リゾート 代表取締役社長 
山川  清徳                 財務省大臣官房政策金融課課長補佐 

メンバー構成よくわからないなー、このサキコーポレーションって基盤屋さんじゃなかったっけ?
ドワンゴに、ローソン? 星野リゾートはよく出てくるからあれとしても、ばねにパッケージの会社かー愉快な顔ぶれだ。誰が集めたのだろう??



わが国ビール産業の競争政策と競争戦略 富田 輝博
http://www.bunkyo.ac.jp/faculty/lib/slib/kiyo/Inf/if31/if3107.pdf

地ビール製造免許の申請手続きについて教えてください。
http://www.nta.go.jp/shiraberu/senmonjoho/sake/qa/03/27.htm

*1:テレビアニメの設定です。サザエさんは昨年65週年だったそうです。