情報化社会における企業のスケールデメリット

起業をめぐるバイアス
http://www.shudo.net/article/201203-biases-around-startups/
首藤 一幸

面白かったので咀嚼がてら読書感想文。

起業を薦めるバイアス

意識していなかったが、形式上自分も起業家であるので起業を勧めるバイアスを帯びた人のひとりであるようだ。まわりに「会社つくったよー」程度の感覚で法人化するひとが多いため、起業を目的にするひととかを見かけるとこの人はどうしたいのだろうかと不思議に思うことはある。起業については悩むぐらいなら辞めとけというスタンスだ。


受託開発と日銭

日銭を稼ぐ仕事というのは重要だ。自分もお金がなくなると受託を受けたりする。日銭はできればロールスキルでもスケールするような仕事で稼ぎたい。稼ぎたいというよりは稼ぐ仕組みをつくりたい。特殊スキルを持ち合わせない人の稼働でお金になる仕事が作れてこそ仕組みづくりに成功したと言える。だがこれが難しい・・・。

貢献と報酬

いまどき、お金やそれで調達できるリソースが成功のキーファクタ(鍵となる要因)であるような新規事業がどれくらいあるだろうか。
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お金が成功のキーファクタでないのに、出したお金によってリターンが決まるというのはおかしな話である。
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リソース提供者だけでなく、事業のコンセプト、経営、技術、マーケットコミュニケーション等のそれぞれが、成功に貢献した割合に応じたリターンを得ることが自然だろう。
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強く顕在化してきたお金の動きと合致しない価値提供・貢献をどう認識してどう取り扱っていくかは、今後の社会、そこで生きる個人に大きな影響を与えるだろう。

慧眼。肝要な事象と課題である。
たしかに、お金をリソースとして取り扱うことに難が生じ始めているように感じる。
企業価値評価や人的資本評価などを突き詰めて分析していくと金銭に換算して評価することの虚しさを覚える。
製造業におけるスマイルカーブがなどと世間ではいわれていたりするが、例えば小売業などの世界ではいままでは「何をいくらで売っているか」こそが至上命題であったが、「他とどのように違うか」や「誰が売っているのか」などの他の価値観が存在感を増してきている。
得に資産が知的資源に集約されるIT産業などではこの傾向が顕著だ。
お金は成果を図るためのアウトプットだけにすぎないのではないかと思うことすらある。いや…、昨今のSNSゲームなどの経済効果を考えると、もはや価値創造や生産性を図るためのアウトプットですらないかもしれない。


個人とその連携こそが試される時代

19世紀初頭、ヘンリー・フォードらが工業生産による価値創造に成功して以来、組織は大きくなることで資本の効率化による利益を享受できた。管理された生産体制下で人を投入すれば、数カ月も先の生産能力を知ることができ資材調達も計画を立てることができる。スケールメリットを最大化し、利益を最大化することに各社しのぎを削った。
たとえば一人しかいない会社の一人あたりの資本利用効率を1とすると、10人の会社だと一人あたり1.2になり、100人の会社だと1.8になるというような具合だ。かつては人数が増える(増やせる仕組みがある)ほど、利益は最大化できた。


だが蒸気機関が発明されたような、あるインパクトが地球を襲った。情報産業の出現だ。
情報産業において固定資産財や耐久消費財はその知識の範囲を制約する重力でしかない。
重力がわずかにでも変われば巨大な恐竜は絶滅してしまうかもしれない。


必要とされたときに必要なだけの形になる。
それがいままで出来なかったので、最大化を目指した。
国や軍隊などもそうだ。権力を集権化し、巨大化することで効率化を目指した。


だが情報の粘度がさがり流量が増すと、経済の動静も激しくなり、物がうごき、あげく人の移動まで活発になった。
画一化していた人々の趣味嗜好やライフスタイルは再び多様化しはじめる。そして人々はその多様性をうけいれはじめた。
薄利多売で利益の最大化を目指していたビッグプレイヤーがその環境の著しい変化についてこれなくなってきた。要望ごとに要求されるスキルセットが異なり、画一化した人員やライン化された設備では対応しきれなくなっている。


1人とか2〜3人のユニット体制と、そのアライアンスこそがこの時代の鍵(キーファクタ)であると思う。
そのようなフリーランサーが組んでプロジェクトをマネジメントし調整する方法はいまのところ明確なものはない。レベニューシェアだのジョイントベンチャーだのと言ってはいるが、結局まだ誰かがケツ持ち役になって主幹会社をつくることで既存の社会の制度の中で折り合いをつけているだけだ。


具体的な仕組みがつくられそれが機能するのはもう10年先かもしれないが、近いうちに仕組みだけでもいくつか生まれるものと考えている。つぅか考えるよ! 今度 MIT aka 100K チャレンジとでも銘打ってやろうかなと思ってるんだ。MITじゃないよ三鷹ね。しかも賞金100K$とかいうんじゃなくて、実費10万円でなんかお試しビジネスの試打してみましょーみたいなの。こういうテストファーストな形でポンポンやってくしかないんじゃないかな。
個人同士の連携の仲介については法人がやるというより、各地域にある任意団体やサロン施設がその役割を担うんだろうなと思います。冒険者の酒場的なね。三鷹のプログラーマーズカフェとか、福岡のAIPCafeとかみたいな。


あ、ここで宣伝!!
プログラマーズカフェ、久しぶりのナイトイベントがあります。テーマはnode.js 4/17 三鷹です。
http://pgcafe.doorkeeper.jp/events/978-pgcafe-nite-april20124
宣伝おわり。受付は今日から開始です。まだちょっと詰まっていないところがあるので、お昼ごろには受付可能な状態にします。たぶん。いいよね?
あと、平日の日中開催のプログラマーズカフェですが、4月からコワーキングスペースクローズドβにつき場所が移動になりますのでご注意を。



宣伝したらなんか思考が寸断されたので、続きはまた今度というか、気が向いたときにでも!

起業 ≠ 法人設立
ベンチャーの定義:スタートアップとスモールビジネス
事業の手段としての法人
マイナスの抑制は粛々と、むしろ、プラスの増強を