被災地のがれき処理受け入れ問題について

ネット上でぼろくそだったので、なんか書いておこうかなとおもいました。

佐賀・武雄市、がれき受け入れ撤回 「脅迫続き」と説明
http://www.asahi.com/national/update/1201/SEB201112010011.html
東日本大震災で発生したがれきの処理について、佐賀県武雄市の樋渡啓祐市長は1日、これまで表明していた受け入れ方針を撤回すると発表した。この日開会した12月定例市議会の冒頭、「電話などで市職員や市民への脅迫行為が続いているため」と撤回理由を説明した。

震災瓦礫受け入れ提案の見送りについて
http://hiwa1118.exblog.jp/
今日、私は断腸の思いで、市議会本会議において、震災瓦礫受入の提案の見送りについて表明しました。既に、Yahoo!のトップニュースになったりしていますので、ご存知の方も多いと思いますが、ぜひ、ちょっと長いのですが、私の表明をご覧いただければ幸いです。ほとんどノー原稿ですので、よ見苦しいところがあると思いますが。ユーストはこちらです。24分54秒から、震災瓦礫の件です。

http://www.ustream.tv/recorded/18848565/highlight/221927


現段階で評価して、放射能災害被災地のがれき受け入れについては、日本のどの地域でもその地域に住まう人の賛同を100%得られる内容ではないですよね。不安はどうやっても拭えません。



ただ、解決しなければいけない問題として被災地のがれき問題があるのも確かです。




樋渡市長に以前お話しをお伺いしたことがあります。なんで難しそうなことやんの?って聞いたら、「公の為になるかどうかで判断して、あとは難しいことから手をつけるかな」っていってたおっちゃんです。*1 現時点の市長のなかで日本では橋下市長の次ぐらいに脅されまくりの御仁なので、まず人柄として、ちょっとやそっとの脅しで屈する類の人ではないです。
その人柄を評価したうえで、今回のケースをあてはめると、公のためというのが「被災地復興のために瓦礫の処分」、目下難しいことは「その瓦礫が放射性物質を含んでいる」または「含んでいるかもしれない」ということなのかなと思います。



「瓦礫の処分」を課題とした場合、九州のような被災地から距離のあるところでの受け入れはあまり実際的ではないように思います。産業廃棄物の処理のコストは1立法で1万5千円程度です。これは国内の物流単価に比例し距離に応じてさらにふみあがるもので、重量物を遠隔地に搬送するのはコストがかかってしょうがありません。ですから廃棄物の処分として実効的な成果を狙ったものというよりは、(もともと樋渡市長も言われていることですが)各自治体で瓦礫処分を受け入れるという先鞭をつけたかっただけだと思います。まあ、それに失敗したわけですが・・・・・・。


自治体のがれき受け入れが決まらないのは処分にかかる費用的問題はもちろんありますが、住人による心情的懸念と感情的反発のほうが理由になっているということが今回の件でより鮮明に判明いたしました。
この感情や心情にはいろいろなものがあると思いますが、主なところは放射性物質でしょう。(他にもあると思うので寄せられた具体的理由を武雄市が纏めて発表してくれれば重要な意味をもつことと思います。)
科学的に安全だとかなんだとかいったところで安全だとあれだけいわれていた原発がこんだけ盛大に事故っている現時点で説得力をもつことは難しいってもんでござんす。



今回の提言から撤回までの流れは、脅迫という行為にでるまで強い反感を呼び出すことに成功しています。脅迫されるのを、成功しているというのかはわかりませんが。索敵のために石を投げたら本当に藪からベビが出てきたみたいなもんです。「やっぱ蛇いたね!」みたいなことを、噛まれるまえに確認できているので成功なのではないでしょうか。
問題は解決しなけばそこにずっと横たわり続けますが、問題があるのがわかれば対策をたてられます。
蛇に勝つ方法、蛇に噛まれない方法、もしくは目的地(がれき処分)にたどり着くために蛇のいない別の道はないかを探すなど、そういう検討をするために蛇(反発)がどこにいるのかを最初に見ておくのは重要なことです。
蛇がいないのなら目的地までまっすぐいくのが一番なのだけど、みんな蛇がいるかいないかわからず通れずにいたところで、「じゃあ一石投じてみればいいじゃない」っていって石をなげちゃったのが今回の武雄市の例なのかなと思います。思ったより強力な毒を持った蛇がいることもわかったけど、千件も意見が寄せられれば、参考になるものもあると思います。これらの意見を検討すれば、被災地復興という本来の目的、公の利に役立つ情報もあるかもしれません。そういう意味で、やぶ蛇ではあるけれど決して目的から後退したのではないのかなと思います。



他方、東京都の石原都知事はあいかわらずの我が道をゆくがごとく受け入れを実施しました。焼却炉の問題、埋立地の問題は震災前からかかえているにもかかわらず、実施できたのは東京がそれなりに深刻な汚染地域で、低汚染瓦礫を受け入れることにたいして住民の反発がそれほどなかったこともあるでしょう。
違いは、石原都知事は蛇がでてくる前に近道を駆け抜ける脚力があったのだと思います。ここでいう脚力は実際に瓦礫を処分できる処理能力の事です。実際に処理できるのなら、蛇がでてくるまえに駆け抜けたほうが目的に近づきます。
他方、単独での処理能力は十分にはない場合、各所と調整が必要になります。続くひとのために問題点の洗い出しをおこなうのが精一杯もの後方支援なのではないでしょうか。どちらがより正しいかというわけではなく、どちらもやれることがあったのでやったということだと思います。



関東のような比較的低濃度汚染地域でさえ焼却灰や下水汚泥については、処分方法が決まらず悶絶しています。

http://mainichi.jp/area/chiba/news/20111201ddlk12040223000c.html
東京電力福島第1原発事故により、高濃度の放射能に汚染された清掃工場の焼却灰保管問題で、柏市の秋山浩保市長は30日、東京都千代田区環境省細野豪志環境相に対し「年内で保管場所はなくなる。年明けに大量に出るごみ処理に大変頭を抱えている」と窮状を訴えた。

そりゃ国の8千ベクレルだった基準も10万ベクレルになるってもんです。

10万ベクレル以下の汚染焼却灰、埋め立て可 環境省
http://www.asahi.com/national/update/0827/TKY201108270453.html
灰に含まれる放射性セシウムが1キロ当たり10万ベクレル以下なら可能とする。今年6月に示した暫定基準値(8千ベクレル以下)を見直す。


いや、ほんと理想と現実が乖離しすぎていて調整不能。というか、個人としてどうしていいかわかりません。
どーしょうもないよね。
瓦礫つみあげたところにヤマトシロアリでも放ちつつ、枯草菌でもまけばとか、ポリグルタミン酸で水中とか、重金属ミミズだの、マリーゴールド的な植物だの・・・あんだのかんだの、与太話をいうことぐらいしかできないし。
ま、悩んだところで人生はつづいていくからやれることやるしかないよね!