50歳未満の有権者はこの10年マイノリティだったようだ
国勢調査の年齢人口から生存率を算出し将来年齢人口を推計し、20〜49歳と50歳までの人口合計の推移をグラフにしてみた。なんでこの20年が失われたのかがすごくよくわかった。
20〜49歳と50歳までの人口合計の推移値が30代としては残念すぎたので、もうちょっと味方を増やして、20〜59歳までとする。
失われた20年というが、この先20年も事態は好転しないようだ…。
それぞれ世代ごとに集計してみた。
平成30年ごろにこのトレンドは変わるかもしれない…。
しかし底をうつのにあと7年、こりゃ長いね。デッドクロスじゃないことを祈るよ。
参政権を16歳以上にして、老齢者人口の多い地方と都市部の一票あたりの格差を是正しても世代ごとに利害関係が衝突したら若年者層は勝てない。なぜなら高年齢の人のほうが将来も絶対数が多いままだから。
国民の総意として高齢人口の要望が優先して採用されるのは高い確度で予測可能な未来。
計算方法
計算方法は下記のとおりである。
国勢調査のH17年を元にした。
世代別死亡率はH12年とH17年の5才ごとの合計数の違いから計算。
計算の関係で便宜上死亡率を生存率とする。
生存率をもとに平成22年までの世代人口を推計。
0〜4才児の生存率は出生時期の関係で100%を超えてしまうため100%として計算。
85才以上は累計であるため111.93%となるが平成12年の80〜84才の死亡率から5年後の85才以上の合計値を引いた物から算出した。
15〜19才人口が2万人ほどふえているのが謎であるが、そのままとする。国勢調査いいかげーん!
20〜49 | 50〜 | |
---|---|---|
S40 | 44,406,013 | 18,325,847 |
S45 | 49,903,334 | 20,442,014 |
S50 | 53,119,683 | 23,604,517 |
S55 | 53,283,580 | 27,926,130 |
S60 | 53,187,792 | 32,806,620 |
H2 | 53,338,601 | 37,452,883 |
H7 | 54,256,256 | 42,611,329 |
H12 | 51,819,471 | 48,917,147 |
H17 | 49,927,742 | 53,268,297 |
H22 | 48,336,801 | 53,898,389 |
H27 | 45,959,905 | 55,037,750 |
H32 | 43,195,363 | 59,873,321 |
H37 | 38,814,648 | 60,070,951 |
念の為、H17-H12年から求められた生存率を用いて、H7年の人口からH17年の推測地と実測値を比較したところ2万人程度の+の誤差があるものの近いとおもわれる数字がでた。各5才別の生存率は次の通りとなる
5〜9 | 100.41 |
---|---|
10〜14 | 99.88 |
15〜19 | 100.33 |
20〜24 | 98.16 |
25〜29 | 98.32 |
30〜34 | 99.64 |
35〜39 | 99.53 |
40〜44 | 99.58 |
45〜49 | 99.05 |
50〜54 | 98.66 |
55〜59 | 98.21 |
60〜64 | 97.83 |
65〜69 | 96.08 |
70〜74 | 93.41 |
75〜79 | 89.19 |
80〜84 | 82.21 |
85 歳 以 上 | 34.79 |
H7-H12の生存率を同様の計算方法で算出したところ若い年代には生存率に差がないものの高齢者に従い生存率が65才以上で1%、80才からでは2.71%、85才以上では9.2%も上昇していた。今後の医療技術の発展を控えめにみても2万人程度の人口増は誤差(しかも少なめの)とする。
感想
失われた20年はいつ終わるのかの予想を建てるためにグラフをみてみようと思ったのだけど、非常に残念なことに、わずかながらも期待していたような図にはまったくならなかった・・・。
本来国内の統計調査、特に年齢に関するものは下記の図のように
http://www.stat.go.jp/data/kokusei/2005/kihon1/00/00.htm
15歳未満を年少人口、15〜64歳を生産年齢人口、65歳以上を老齢人口と呼ぶが、このくくりに違和感を覚えている。
現代のビジネスを含めた実社会においては、50歳ぐらいを境に利害の振る舞いが対立することが多い。
管理職を筆頭にそれまでで形成した技術や人脈などを含めた資産で食べていくディフェンシブな立場になるからだ。
そこでこのグラフをつくって、いつそれがまた変わるのかをみようとおもったのだがこのありさまだよ。
変わりゃしないどころかより顕著になるいっぽうじゃないか。
政治政策などは一番多い層にむけて施行されることが殆どであるので、マイノリティは不利益を被る可能性が高い。現代において若者が経済的にも弱者であるといわれているのはそもそもが数的マイノリティだからなのではないだろうか。
世代間抗争があるとするなら、自分が数的優位の立場に建てるひはこないのだろうか?
期待はしたいが数値をみたらとてもじゃないがこなそうだ。
全体としての意志決定には若者も隷属するしかないとして、あとは生き残るための個別最適化しかないのだろうか?
地域経済圏による最適化
世代構造が地域の財政に及ぼす好例は少し調べただけででてきた。
15歳未満人口が13.7%,15〜64歳人口が65.8%,65歳以上人口が20.1%
沖縄県を除くすべての都道府県で65歳以上人口が15歳未満人口を上回る
http://www.stat.go.jp/data/kokusei/2005/kihon1/00/02.htm
年少人口割合が低く、老齢人口が高いと財政的には先ゆかないものがあるようだ。それぞれで1位になっている夕張市はこの調査から2年後の平成19年に破たんしている。
逆の好例として生産者年齢人口割合が高く、老齢人口が低いNo1に千葉県浦安市がある。
財政力でみて千葉県では1位、全国でも2位となっていることがわかる。
http://www.city.urayasu.chiba.jp/menu1074.html
http://www.pref.chiba.lg.jp/shichou/zaisei/zaiseijouhou/documents/25urayasu_6.pdf
http://www.mansion-hyoka.com/blog/archives/947
2008年は14位に後退?町村も混じっているので正確な比較ではないが、全国的にもかなり上位を維持しているといえる。
http://patmap.jp/CITY/RANK_FULL/00/06/FULL_ZAISEI_SISU.html
個人がとりうる生き残り策としての個別最適化には経済圏を移動してでも生き残るというすべもある。
世代構造がいびつでない組織への従属もある意味経済圏の移動だろう。
インターネットは、結果として世代をわかつ経済圏をもうひとつつくってしまった。
何がしかの方策によって局所的にでも自分がマイノリティでなくなる場をつくる必要があるだろう。
マイノリティが正面を切って戦い続け、しかも勝利をおさめるのは難しい。
織田信長は桶狭間では大軍を鋭点突破することで、局所的に数的優位になることで局面を打開した。
そんなもんだ。
だが、そのまえに自分が数的に有利なのか不利なのかを客観的に把握するひつようがある。
自分もうすうすは気が付いていたが実際に集計してみるまでこれほどまで顕著だとは思っていなかった。
結構ショックだ。
なんで調べたか
年金受給者の消費税率はマイナスだった件
http://blog.livedoor.jp/dankogai/archives/51573824.html
自分も「えっ?」と、思って今回、ちょっと世代がどうなっているのかを調べるに至った。
各自が利己的にふるまった結果、総合的な意図が国の政策になるのであれば、うえででた世代構造ならば当然だ。
自分が利する立場であるならば問題意識はもてなくて当然だろう。
はてさて世代ごとに利害が対立した場合、どうしたものだろうか。疎まれながらもテクニカルを駆使しぎりぎり過半数に支持されるやりかたもあるだろう。オルタナティブなサバイバル戦略だ。激烈に恨みを買う。ここらへんは首長パンチを読んでいて思った。首長パンチは佐賀県武雄市の市長が書いた本であるが、武雄市は市の財政を立て直すために財政圧迫の原因である市立病院を民間に移譲したことで医師会と対立しリコール騒ぎにまでなったという傍から読むのにはとても面白いノンフィクションだ。
それぞれの立場の人たちの利するところを考えるとそれぞれに生活がある以上いたしかたない。生活を奪うものは掠奪者として認識されるであろう。孫子の兵法には敵の退路を断つべからずとある。必死になるからだ。自らの退路を断つのはその逆の効用。
本を読んだ感想は意思疎通に誤解があるのではなく、この退路を断ってしまったために、落とし所がないいかんともしがたいことになってしまったのではなかろうかと思う。パイが増えない限り、時に利害は対立するものだ。
大企業をスーツになぞらえて、中小企業をそれ以外としてスーツとの経済の奪い合いと評したのはだれであっただろうか?ごく最近読んだきがするのだがわすれてしまった。よる年波にはかてんわぃ。この言葉にもスーツ人口とそれ以外の人口の構成構造が透けて見える。集計&推測したらおもしろそうだ。
クリス・アンダーソンの言う非貨幣経済(フリー経済)と貨幣経済(希少な資源をめぐる経済)はどこで化学的平衡を脱するかな?
そろそろぐだぐだになってきたのでここまで!
あ、そうだ。首長パンチのなかで参議院のかわりに、知事と政令指定都市の市長がそのまま議員になる地方院にしたらどうだろうという提案があったのだけど、面白げなアイディアだなと思いました。
地方の考えが直接国に伝わるだけでなく、上にあげたような理由から20年先の事となると完全に利害が対立する世代間闘争をある程度は穏便に着地させることができるかもしれないからね。
ちなみに誤解ないようにいっておくと、年寄りに厳しくしろっていってるわけじゃないよ!
・・・弁明したところで誤解されそうだな。ま、わかってくれるひとはわかってくれるだろう。
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追記
若者が搾取される理由藤沢数希 / 記事一覧
http://agora-web.jp/archives/1164595.html
記事では若者の選挙投票率の低さが問題だとされているが、もし若者の投票率があがったとしても上の人口構成であれば若者は年配者より1.1倍投票しないと並ばない。
ところが若者が多い都市部と地方で2010年の国政選挙では5倍に及んだ。
そりゃ若者が思考停止して考えるのをやめるのも合理的な判断だ。
もっとも、それでも時間を追えば刻一刻と若者にとっては覆しがたい数量差になるので、1.5倍程度の差に収まっているいまのうちになんとかしないともう二度となんとかする機会はないかもね。