今年の情報通信白書を咀嚼してみる

今年の情報通信白書を読んで紅茶屋なりに咀嚼してみようかなと思う。


↓平成22年版 情報通信白書(電子書籍版 : ePub
http://p.booklog.jp/book/4738
↓紙でほしいひとはこちら

情報通信白書 平成21年版

情報通信白書 平成21年版

↓メモを公開するつもりはなかったのだけど、なんとなくおっぴろげてみた。
http://d.hatena.ne.jp/kuippa/20100725/1280039082

各テーマについて

原口総務大臣が掲げるICTの利活用について徹底的にやられている感じ。

第1章 ICTによる地域の活性化と絆の再生
第2章 グリーンICTによる環境負荷軽減と地域活性化
第3章 ICTによる経済成長と競争力の強化
第4章 情報通信の現況
第5章 情報通信政策の動向

地域活性とグリーンICTが入ってきたのが特色だろうか。
地域ICTは個人的にも注目していて、先日福岡AIPの件などでセミナーをお願いしたりした例がモロにでてて*1、タイムリーさを感じた。
グリーンICTについてはアメリカの政策の影響をもろにうけているが、アメリカは具体的な投資金額をあげ、雇用創出などマーケットをつくることに具体目標を掲げているのにたいし、日本は2050年にこうなったらいいなーという寝言を掲げているだけなので笑ってしまった。

ICTと地域

自分も地元のICT振興をいろいろやってはいる。・・・が、どれもまだモデルケースになるほどのものはないのでご報告はできない・・・。これら分野について将来性は感じるが、同時にインフラレベルでのお話しなので一朝一夕にはなかなかいかない。
「どうやって無料でやるかだよ」という、福岡の事例はとても参考になった。
ソーシャル・キャピタル社会関係資本)はとてもよい表現方法だ。社会関係資本の価値評価方法が体系的にあるとよいのではないだろうか。

導入要望があるICT

教育、医療(受付システム)、税申告の支援、リサイクルは要望が高いようだ。
これらのSaasができればいいのだろうが、医療、税務については法律という名の障壁がありそうだ。結局大手意外参入できない商域だ。
内容を見るとコンシェルジュサービスなので、その導入部分を士業に売る方向のソフトになら逃げ道があるか?
コンシェルジュ系のネットサービスは紅茶の方面でつくってみようと考えていたところなので、こちらの方向にも拡張できるように考慮してみたい。

農林水産業×ICT、観光・地域振興×ICT

農林水産も観光・地域振興も単体ではマイナスなので、ICTで掛け算をすることに意味がないように感じる。ICTで掛け算をするまえに基幹部分を変えるひつようがあるのではないか。
ICTは問題を解決するのに役にたつ。しかし解決されたら困る問題(癒着や商習慣)を内包する業界にICTを導入したらICT導入することによって双方が不幸になる。ICTは手段であり、方法論から解決策を構築するのはナンセンスだ。

テレワーク

かねてより日本は他国に比べて遅行していたジャンルだ。
ここにきて急速な進歩がみられた。白書ないではあまり触れられていなかったが伸び率に注目すべきものがあった。
もしかしたらリーマンショックなどで大手が一時帰休などをしたのが普及の助けになったのかもしれない。
来年も注目していきたい。

グリーンICT

CO2はおためごかしだと思う。結局だれのためにも(地球のためにも)ならないと思うが、それでも脅威は必要なのでいたしかたない。戦争をされるよりはいいので反対する理由もない。
環境計測・環境予測、センサーネットワークの構築は、コンピューターにとっては神経細胞から、感覚器官を得るようなもので進化になぞらえても重要な意味がある。この分野は情報処理だけでなく、ロボットなどの分野についても重要な発展をもたらすと思う。適切な投資がされることを望む…。

情報投資

「小売」「対個人サービス」「農林水産業」「医療・福祉」「教育」等における情報通信資本の推移は、各国中最低水準であるという。他業種のなかでも「小売」「卸売」「運輸・倉庫」「対個人サービス」など第三次産業における情報通信資本の低成長が際立っている。金融・保険以外の業種でICTの教育がまったくされていない企業数は4〜6割にものぼるそうだ。零細企業ほど情報投資がおこなわれていない現実があるようだ。


白書のなかでは高コストがその理由であるとあげているがはたしてそうだろうか?
情報投資はあくまで投資なので、投資した結果、成果があがらなくてはならない。
成果があがるようなICT投資がなされる仕組みがないか、費用対効果の部が悪いのが原因だろう。ランニングの母数が大きくなければ効率化できないのだろう。

なぜに高コストになってしまっているか?
これはとある会社の社長さんの意見だが、新しいシステムに業務に合わせることがなく、業務にシステムをあわせようとするからだという。フルカスタムでシステムをつくるしか方法がなく、工数を積み上げているのだと思う。そして人月の弊害だ。


つくらなくても既製品を導入すればすむシステムもあるはずなのだが、現状そうはなっていない。
業務の電子化におけるコーディネーター、コンシェルジュが育っていないのが原因であると考えている。
これはビジネスとしても力をいれて改善していきたい分野です。情報およせください!



江戸時代には大工のような技能をもった人材を手配する口利き屋なるものがいた。
現代では派遣業がそれにあたるのかもしれないが、派遣業は技能を持った人の口利きというよりは、労働力を販売する出稼ぎ労働者の元締め的な振る舞いになってしまっている。プロジェクトごとではなく期間売りであるのがその証左なのではないだろうか。ソフトウエアも製造する前のレベルでコーディネーターがいるといいと思います。