移動知などロボットテクニクスの最新動向

「サービスロボットはどこまで進化したか」〜ヒトとロボットの関係性〜
4/15 三鷹ネットワーク大学で、東京大学工学部 浅間教授が開いた講座に木曜日いつものプログラマーズカフェが終わったあとに、みんなが懇親会を開いているのを抜け出して聞きに行った。
すこし前の講座の感想やまとめをなんで今頃だすかというと、メモが普段PGCafeでしか使わないノートPCにしかなかったのと、ちょっと用があってそのノートを今、開いているからだ。


産業としてのロボット

「技術開発は早いが、商品化が遅い。」だそうだ。
経済のヒトが「技術開発で勝って商品化で負ける。」といっていたがこの現状はロボット産業にもあるようだ。日本の慢性疾患かもしれない。


2006〜2007年には稼働台数、出荷額ともに世界のトップだった。
研究開発、研究者数、技術はまだ日本は世界に冠たるものがある。
しかし2009年にはEUに出荷額で抜かれてしまった。


手術用ロボット/DaVinci 2億〜3億円程度のマシンがあるが、日本は3〜4台しかはいってない。
だが韓国は100台以上はいっていて、日本は商品化に遅れたためにアメリカ(サイバーダイン?)に持っていかれた。
ロボットが研究室レベルではトップクラスでも産業になったとたん世界に抜かれてしまったのでは洒落にもならない。


ロボットの二足歩行

ロボットの歩行は静歩行により実現している。静歩行とはある瞬間で一時停止をかけても重心がとれている状態であるということ。他方、人間は動歩行により歩行を実現している。動歩行というのは一時停止をかけたときに重心がとれていないので倒れてしまう。動歩行のほうが圧倒的に効率がいいが制御がむずかしい。


一時期ネットでも話題になった動く姿が気持ち悪い「BigDog


これはまさに動歩行で制御されている。動歩行の専門家による開発だそうだ。
アメリカなどの他国はロボットを軍需として予算をつくので豊富な予算がある。このロボットもマシン車両の侵入が難しい輸送用などとして開発されたそうだ。この関連で動画を追っていくと結構面白い。


ロボットテクノロジーとは

ITとの比較でロボット技術をRTと呼んでいる。ロボット技術とは何も二足歩行や人間の形を摸したものばかりではない。お掃除ロボットルンバのようなものも入る。


1.リアルワールドのセンシングをおこない
2.アクチュエータ(運動機構)をもつもの



全方向移動機構

浅間先生が開発にたずさわれた全方向移動機構。4方方陣の四輪と輪自体にシャフトロール構造があることにより全方位に自在に動く。(ググれば図ぐらいは出てくるのではないか・・・?言葉での説明は難しい。 ロールホイールというのかな?)
当然、シャフト部分の車輪の経は小さくなる。車輪などは自力で段差を超え用途した場合、車輪の経の1/4を超えると自力で登ることができなくなる。
疑問がわいたので質問をしてみた。


Q:横方向、車輪の経が小さくなるので、つまづきやすくないか?
A:やはり段差には弱い。現在7輪の車輪を研究している。


7角形というのがまた面白い。とても興味をもった。絶妙な角度分解だ。360度を割りきれなくなる最小の辺数。でも作るのが大変そう。
マウスやトラックボールなどがXYのみで移動を分解しているのを考えると機構がフクザツになりすぎてはいまいかともおもった。生物の関節よろしく設置面だけを球体にすれば、いいような気もする。
極論その7角形に配備されたタイヤが地面に直接設置するのではなく、設置は球だけにしておけばいいのではないか?素人意見だけども・・・
ここらへんいろんなものが研究されているのだろうね。たぶん。


環境知能化、空間知能化

アカデミックロードマップが興味深い。
自立支援ロボット・環境
生活支援ロボット・環境
一枚絵でテクノロジーがどのような形態で生かされるのかをぺら一枚で説明するのはとてもすばらしゅうございますとおもいました。

行動予測・判別・予測・誘導

サントリーミュージアムの例がとても面白かった。
ぜひ動画で見て欲しいが・・・ネット上に動画がみあたらなかったのが残念。
環境知能化による映像提示を用いた動線誘導で96%が誘導につれたそうだ。


ここに図だけみつけた。動画が面白いのに……
cf.
http://www.race.u-tokyo.ac.jp/~asama/publication_page/papers/publication_list_2005/2A1_2.pdf


移動知

mobiligence(造語 moves + intelligence)
ロボットは適応能力に違いがある。
適応的な行動を計画するためには、行動をして情報を得なければならない。
従来のロボティクスでは、環境をセンシングしておこなっていたが、行動を先におこすことによって、リッチな情報が得られるようになる。生物学と工学を融合し動物の適応的行動の背景にある共通メカニズムを探るという研究。


個人的には非常に有意義で面白い内容だったが、おそらくは生物実験などになじまない人には刺激が強すぎるので単語とさわりだけ…


BMハイブリッドシステム
ラットカー(車に縛りつけられたラットの脳派だけで動くラジコン)
蛾の脳カー(蛾の脳みそからの指示で動くラジコン)
筋緊張(小脳障害、パーキンソン病/ 深部電極刺激)
除脳猫(みゃー!)


ほか感想とかキーワードとか

こういう情報は紅茶屋がまとめるんじゃなくてもっとポリテクニックで最前線を張っている人たちが公知しなきゃいけんのじゃないかとおもいますがいかがでござんしょか。
講座の最後に雑談みたいのがあって、聴講しているひとも15人程度だったので名刺交換の機会があったのだけど、紅茶屋ですっていってたら先生がポカンとしてらっしゃいましたです。ザ・場違い。いつものことですが。紅茶用のメイドロボはいつ発売されますか?とか聞いておけばよかったのかな。



ロボットがんばれ、超がんばれ。
ロボットもだめになると本当に日本の次の重要産業の重要なピースがなくなります。
ロボット関係の人は積極的にその研究動向を専門学会だけじゃなくてもっと広く公知してください。
じゃないと適切な投資がおこなわれないし、法整備も世間の理解も得られないと思います。
すごくもったいないです。




cf.あとでちゃんともうちょっと掘り下げて調べよう!(もしくは誰か調べて&まとめて!)
総合科学技術会議(重点四分野/推進四分野)
http://www8.cao.go.jp/cstp/index.html
新産業想像戦略
ロボットと人間のインタラクション(相互作用)
pdf資料(類似) http://www.race.u-tokyo.ac.jp/~asama/lecture_page/lect8_folder/zizokuseishakai0812-3.pdf
アカデミックロードマップ:ここには見たかった図はなかった
http://www.ai-gakkai.or.jp/jsai/activity/rloadmap.html