東京の歴史と商店街と文化

下北沢の再開発で文化人(?)がカルチャーの破壊だと騒いでいるらしい。
日本の場合、行政がなんかしたくても地主の意向が強く、さらには借地借家法の関係で地主よりも借地権をたてに居座る住人の方が強くて、もう何かしたくてもなんともならん状態がかれこれ長いこと続いています。
下北の場合はそこに訪問者や、さらにうちのような完全な外野まで騒ぎ立てて意味がわからないことになっています。


この問題は下北沢に限った話しではないので、せっかくなので、関連の問題をなぞって歴史的な背景やら関連の問題を洗ってみたいとおもいます。


東京はゲロをぶちまけたような街だと東京の酋長さまがいいました。酋長がいうんだから間違いない。
都庁がある西新宿の方から見る街並みはまさにそうなのかもしれません。
実際中央線からびっしりと雑多に並ぶ続く屋根並みをみるとそのように思います。


かのP.F.ドラッカーは日本について書いた文のなかで「東京に行くと、道が曲がりくねっていて不整備であることが分かる」というような旨を書いていたのがいまだに印象にのこっています。
これが象徴しているのは社会資本が効率的に投資されていないよってことをいっておるんじゃないかなとおもいます。


それが文化だといいきることもできるかもしれませんが、
その文化はこの50年の話しだとおもいます。
なぜこうなったのでしょうか?
歴史的にさかのぼってみると


東京大空襲
東京オリンピック


主にはこの2つなのではないでしょうか。
10万人が死亡し、26万戸が被害をうけた東京大空襲
”江戸”の名残のあらかたは焼け落ちそれこそそれまでの文化は強制的に排除されました。
その後、進駐軍の指導により色々なものが禁止されたり骨抜きになりました。


吉祥寺や下北沢は戦後の闇市から発展した街といわれていますが、なぜそこに闇市が立ったのかというと、東京大空襲で高円寺ぐらいまでが被害をうけているからです。
吉祥寺も三鷹同様、明暦の大火(振り袖火事)や関東大震災で中心部から疎開してきた人たちが村をつくっており、すでに下地ができていました。


祖父が言うには東京では戦前は土地にあまり価値がなく、長屋や借家という建物の方が重要視されていたそうです。
現在でも東京で多くの土地を持っているのは農家か御寺さんです。
なかなか表には見えてきませんが、実はあそこからあそこまでの地権者は全部同じとかいうのは都内ではよくある話しです。



なぜこうなったのでしょうか?
この論文に書かれている内容が参考になります。

旧資産家層に対する改革が,都市部の
土地所有構造にもたらした影響である。皇族・華
族・財閥家族などの旧資産家層が,同時に都市部
の市街地における大地主でもあった
...(略)...
1946(昭和21)年の財産税法において
...(略)...
課税価格の25〜90%という高い税率で金納
あるいは物納させるものであり,資産家層の資産
処分を大きく促したのである。
http://opac.kanto-gakuin.ac.jp/cgi-bin/retrieve/sr_bookview.cgi/U_CHARSET.utf-8/NI10000523/Body/link/5natake.pdf

つまり歴史的に社寺地や農地以外はほぼ強制的に処分されたのです。



このように土地の権利者が細かくなった状態下で東京オリンピックが開催されました。
下水整備が間に合わず、川にまんまフタをし下水とし、そして川の上に高速道路をたてたのです。
関連の設備投資費は名目GDPの10%、2兆円に迫り、東京の都市計画は当時の突貫工事のまま固定されたのでした。



東京都指定の防火地域に一定平米以上の建築物を立てようとした場合その材質はほぼ限られてしまいます。
限られた土地面積で建て替えを進めようとした場合、他に選択肢がないのです。
モダン建築物にならざるをえません。
だってモダンじゃない建築物で防火基準を満たすものがないんですもの…。
総檜づくりの駅舎とか見てみたいは見てみたいんですが、現行法上無理ですね。



問題になった下北沢の商店街の人が「待ちに待った」と表現していますが、この気持ちはわかります。
自治体なんていうのは合議制なので誰かが反対するとまるで話しがすすみません。
街をよくしようという意思で行動し、いろいろな利害関係者に説明して回ってようやくじゃあ検討してみようかと一歩が踏み出せたと喜びの声を書いたら思わず炎上とか、自分も今商店街で動いているので苦労や心情慮られます…。



街は用意されたものを利用するだけのレディメイドのものではありません。
つくって育てていくものだと思います。
商業に特化した街づくり、住みやすさを目指した街づくり。
いろいろあると思いますが・・・



(゚д゚)<こうしたいっていう理想があるんだったら動いていこうぜ!




ぶーたれてばっかりだったり、反対ばっかりしてても実るものはないのかなって思うです。



余談ですが、、首都直下型の地震は30年内に70%、東海沖地震は30年内に87%の確率で来ると予想されています。
これは東京都のハザードマップです。

http://www.toshiseibi.metro.tokyo.jp/bosai/chousa_5/download/sougou.pdf
世田谷なのに真っ赤のエリアがありますが、ここが下北なんじゃないかな?と見ると考えてしまうものがあります。



あと、最近では英国で似た話しがあったのを思い出しました。
チャールズ皇太子あたりがモダン建築に反対していて結構言動が面白いらしい。
http://infrascape.exblog.jp/10673216/


さらに、関係ないですけど京都駅のぐぐる検索へのパスを張っておきますね…。
http://images.google.co.jp/images?hl=ja&q=%E4%BA%AC%E9%83%BD%E9%A7%85&lr=&um=1&ie=UTF-8&sa=N&tab=wi
自然採光しようとしたらやっぱりガラスになっちゃうのよね…。


ラピュタみたいな、外から見たら外壁で内側からみたらお空みたいな偏光ガラスができたらいいのにね。