バフェットとゲイツによる資本比率への潮汐波

50兆を寄付/凍結→世界のマネタリーベースが干潮→干上がる→残るのは方舟(財団)マネーだけ


バフェット爺さんが「わしが引退したら子供たちに資産は残さない!」とか言っているのを聞いて、あぁ、偉い人なんだなぁと思っていたし、ゲイツがそれに賛同して、財産を寄付して財団をつくるというのを聞いてゲイツもすげぇなと思っていた。だけども、今日の40人もそれに続くというニュースみて震え上がった!
燕雀いずくんぞ鴻鵠の志を知らんや。俺みたいな連雀ものにはオラクルオブオハマの本当の狙いを何年もわかっちゃいなかったんだ。



映画サマーウォーズは楽しかった。でも、あれを楽しむ為には知ってなきゃいけない暗黙知がたくさんありすぎる。分かりやすく説明をしようとしているのだけど、多分情報仮想世界をイメージもできない人にはいくら概念化したところで伝わらないんじゃないかと思った。

資産の半分寄付、米大富豪40人賛同 実現なら50兆円
http://www.asahi.com/international/update/0805/TKY201008050219.html
著名な米投資家ウォーレン・バフェット氏らの呼びかけに、米国を代表する大富豪40人が賛同を表明した。バフェット氏が4日、発表した。全員が約束を守れば6千億ドル(約50兆円)が慈善事業に回ることになるという。全米の慈善団体が昨年受けた寄付総額の倍にあたる。

このニュースもディバイドがあるように思う。へー、すごいねで終わってしまうところだが、最近の世界の経済を見ているとこれがどういうことをやろうとしているのか、見方も感想に違ってくるようにも思う。



キーワードはマネーサプライ(マネーストック)とマネタリーベース(ベースマネー)だ。


マネーサプライ

ここ何年かで世界の信用創造金本位制やめていらいかつてない程ひどいことになっている。
戦争などのタイミングでデフォルト(債務不履行/徳政令)して、これらを精算してきたが、高度に国際通貨化してしまった現代ではそれもかなわず、世界で流通しているお金は一国の中央銀行の統制でどうにかできる範疇を超えてしまった。
毎年20%近くがどこかの国で信用創造され、国境を自由に超えて戻ってくる。たかだか3年半で世界で流通しているお金の総額が倍になる計算だ。


アメリカのマネーサプライはこのように推移している。

※M3の統計公表は辞められている。


リーマンショックはそのはじけたバブルのひとつに過ぎず、これもすぐ戻ってしまった。
現在は企業の時価総額だけで4000兆ほどあり、流通しているお金は垓の単位になると聞いた。
(ちょっと調べてみたが世界のマネーサプライを計算してまとめてくれているページがなかった。統計局もどうせならちゃんと合計値をだしておいて欲しい…っす。)

マネーサプライ(通貨供給量
http://rnavi.ndl.go.jp/research_guide/entry/theme-honbun-102621.php

マネーストック
http://www.stat.go.jp/data/sekai/10.htm
マネーストックとは,金融部門から経済全体に供給されている通貨の総量をいう

平たく言うと、毎年毎年お金が見かけ上はものすげぇ勢いで増えているってことさ。


ベースマネー

さて、タイトルに戻る。潮汐波{ちょうせきは}/Tidal waveは潮の満ち引きによる波を指す。
彼らの50兆円はベースマネーでの50兆円になりうる。
この50兆円を担保に信用が創造され、ふくらまされ、会社などの時価総額になって、それを担保にまた貸出がおこなわれ…信用が創造されている。だから、この50兆を集めるだけで波がおきて、その波はいく倍にもなって世界をめぐる。



50兆! へーすごいね!という風に麻痺してしまっているかもしれないが、この50兆の個人資産は名目、数字だけの資産とはワケが違う。
この50兆を”寄付という名”のもと銀行から引き上げを行い、財団という自分たち専用の金庫に預けることによって、株式、商品などのあらゆる市場から引き上げをおこない、方舟に資産を逃がすことができる。ベースマネーを現在の市場から隠すことができる。これはとてつもなく大きな意味をもつ。


銀行はには自己資本比率が定められているが、国際取引を行う場合でもたった8%程度だ。
財務が健全だといったところで、みんなたかだか10%の元本をもとに10倍の商売をするのだ。残りの9割は人の金だ。
じゃあ元をただすと、だれの金か?


40人も賛同者があつまった理由

バフェットにゲイツがつづいたぐらいまでは驚きこそすれ不覚にも不思議にも思わなかった。
だがそれが40人も続くとなると話しは別だ。何かあるとおもったほうが自然だ。
ここにきてバフェットのやりたいことがようやく見えたような気がした。彼は信用構造の社会を作り変えたいのだ。そのほうがいままでの彼の行動規範らしい。だが投資といっても、彼の最後の投資は取り立てて何もやることをはない。資金を凍結することが最大の投資になるなんてどうして考えられようか。
今の異常に膨らんだマネーは、早晩コントロールを再び失う。いや、すでに失っているのかもしれない。
通貨発行利権を握る連中がなんとかして機能するしかないと思っていたが、彼らのようなベースマネーを握る人が結託できるのであればそれとはまた別の選択肢がでてくる。



http://d.hatena.ne.jp/ueyamakzk/20040512/p5
アメリカの上位1%の資産合計は、下位95%の資産合計を上回る」

(適当な資料がみつからなかったので、ブログ引用だよん。)


別にアメリカだけの話しではないが、相場を動かせる人は相場で負けることはない。
自己資本比率の干ばつを起こせるのであれば、荒療治であることには変わりはないが、もしかしたらなんとかなるかもしれない。さすが爺さん、本当に及びもつかない……。


日本は続かない

関連のニュースをアメリカ、日本でチェックしてた。

米国で「資産半分寄付」運動 日本の富豪にも広がるか
http://www.j-cast.com/2010/08/06072949.html

なぃゎぁと思った。


日本で数億円寄付したら、国庫に返納されたとか、何億円の当たり馬券を寄付したら無効になったとかそういうお国ですよ。それに日本の資産家のほとんどは不動産による資産だから、手放せない。


アメリカは寄付と言う名の投資行為が行える。寄付対象にお金がちゃんとまわるからだ。だから凍結みたいな裏技をとる可能性があるのではないかと予想できる。
他方で日本は寄付をするのにも税がかかる。国境なき医師団や、赤十字などのNPOでようやく、寄附金控除ができたがそれでもまだ制限つきだ。

No.1150 一定の寄附金を支払ったとき(寄附金控除)
http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1150.htm

お金を寄付するとお金を取られるのにどうやって寄付しろというのか。
エンジェル行為もできなければ、寄付行為もできない。それに日本の金持ちってさほど金持ちじゃないしね。


同じような税金の問題は英国でもみたいだけど……
http://www.bbc.co.uk/blogs/seealso/2010/08/daily_view_billionaires_giving.html


というか、別に世界で一番二番の金持ちがどうしようが、世間の金回りをどうしようがあまり俺とか世間には関係がないんだけどね、なんかおこるかもと思ったのでついうっかり書いてしまったよ。
まあ紅茶のみ話しでも。