英語が出来ない奴をクビにしたいという動機

言語は意思をつたえるための手段にすぎない。いくら技能に優れていようとも、伝えるものも交渉する材料もない人が表現手段を有しても価値がない。表現するための手段は必要になってから身につけるのでも、外から借りてくるのでも遅くはないと思う。

こんな記事があった。

三木谷浩史楽天会長兼社長――英語ができない役員は2年後にクビにします(1)
http://www.toyokeizai.net/business/interview/detail/AC/810ee47297d49033c2a4b43a0a5216e0/
国境や国という概念が大きく変わっているのに、唯一大きく取り残されているのが日本。ここ2〜3年、世界中を飛び回ったが、社会のトップ層が英語をしゃべれないのは世界中でたぶん日本だけですよ。これは相当やばい。ヨーロッパだろうがどこでも英語はペラペラです。

英語をしゃべれるだけではあまり価値はない。母国語が英語なら5歳児だっていっちょまえにしゃべったうえに理屈をこねる。日本語が使えたうえでさらに英語も使えるということになって初めて価値がつく。しかも両方の国でビジネスができるというのが必要条件だ。


そもそも伝えたいことがあれば言葉なんてあまり関係ない。

海外赴任で親が英国に住んでいたのだが、中学生で習う英語も怪しいぐらいのうちの母親が隣合わせになったおばちゃんとかと日本語と英語で普通に会話が成立している様をみて最初は驚いたものだ。
自分も英語すら通じない海外をいくつか旅したが、言語ってあんま関係ねぇなと思う。単語とか知ってると便利だけどね。日本人なのに日本語で話しかけても意思が通じない人だっているでしょ?逆だって居るさ。
言語の違いによるコミュニケーションコストより、人物の違いによるコミュニケーションコストのほうが俺は高いんじゃないかと思う。通じる人は通じるし、通じないひとには細かく言っても通じない。暗黙知っつうのは喋らなくても通じるから黙って書くのだ。


商習慣は暗黙知のひとつ。

金を払えば商品が手に入るのは日本では「あたりまえ」だから説明の必要がない。だが、それがあたりまえではない文化圏もある。
楽天市場というシステムは日本の商習慣に対してつくられたものだ。同じ英語圏でも商習慣は違う。楽天はインターネット黎明期に日本のEC市場に参戦したからこそここまで大きくなったのであって、日本よりECの分野で先行している米国などを相手にこの時期から参入で勝ち目はあるだろうか?
クレジットカード利用実態をみてもBtoCの市場熟成度みてもここまで違うのに、日本から他国向けにローカライズすることにどこまで利便性があるだろうか?
一出店者の意見だが、世界どうこういう前に楽天CMSをなんとかしてくれと切実に思う。ありえないぐらい使いにくい。競合他社に技術的な面で遅れをとりつつあるのに世界とか言い出してる場合じゃないじゃない! うん。ごめん愚痴。マニュアルまで英語になったりして、楽天大学で英語を習いましょうとかなったら俺泣いちゃうよ?あ、うん、ごめん愚痴ばっかだな。


日本から英語をつかうことに利点があるだろうか?

海外にこぎ出そうと、みんなで英語を学習した結果、海外からはお呼びでなかったということが分かるだけやもしれない。そうならない可能性は無くもないが、それは冒険なのではないかと思う。
はたして日本から英語圏(それはどこのことだ!?)に標準をあわせて参戦する価値はあるだろうか?
最初から国内市場のサイズが小さくて世界市場をめざさざるを得なかった韓国や、英語が既に通じるシンガポールや香港に勝てる目はあるだろうか?日本は中途半端に国内市場があるため、日本でしか通じない商習慣や独自規格が生き続けている。これを国際標準にあわせるという意味は、国内の既存市場と戦うということを意味する。日本市場と英語圏市場とはオルターナティブだ。並行、並列で処理できるものではないのではないかと思う。


英語にした動機の好意的解釈と世俗的解釈

日本も国際標準にあわせたほうがいいことぐらいは理想としてはわかる。だが、それをビルドするには壊してまわらないといけないものが山とある。好意的に解釈すれば、三木谷さんは義憤にかられてその憎まれ役を引き受けようとしているのかもしれない。それが動機だとしたら素晴らしい。
世俗的に解釈すれば、国内の天井がみえてきて、世界市場に手を出さざるをえないのだけど役員連中と問題意識を共有できない!せめてボクと同じように英語ぐらいは喋れるようになってくれ!そしてボクの変わりに問題解決方法を考えてくれ!じゃないとクビにすんぞ!!! みたいな。こっちのほうが人間っぽいね…。
規模を大きくし続けなければ現状が維持できないという切迫感が感じられます(´・ω・`)


英語をしゃべれない会社のトップ層

社会のトップ層が英語をしゃべれないのは世界中でたぶん日本だけですよ。

これは本当かなと懐疑的。大手とよばれる会社は90〜00年代ぐらいにはもう海外生産拠点とか作っているし、世界展開しているクラスの会社になれば海外勤務とか出張とか現地法人とのやりとりぐらいあるんじゃないんですか?経営層とか管理職ならなおのこと避けては通れないと思いますよ……。国内では必要ないから使ってない、だからお目にかかる機会もないというだけじゃないのかなともおもう。
今、大手と呼ばれるような会社で経営層についている人達で海外赴任とか海外と取引もない経験のない人達そんなに多いかな?


ああ、そうだ。そういう人達が固まっているところがあった。銀行系列。
資本の関係で大手にも財務に関係が深いところは役員を出向させたりしているけど、現場からあがっていった層とは別にいらっしゃいますよね。銀行系は殆ど国内転属しかないから英語とかが喋れなくても不思議ではないですね。国際会計標準とかとは遠いままだし。
三木谷さんも銀行系列だから、周りにそういう人達が多くても不思議はないのかな?
だとしたら、まずすべきは銀行業務の国際化なんじゃないかなと…。
楽天銀行(旧e-bank)は国際展開するのかな?だとしたら面白いですね。


まとめ

あ、あと俺、英語喋れないけど、ファッキンジャップぐらいわかるわコノヤロウ!