自殺対策白書ダイジェスト

自殺対策白書なるものがあるらしい。
聞いたことはあったのだけどインターネットで公開されているのは知らなかった。
こないだ銀行のロビーで国会中継をきくともなしにみていたら、なんか民主党の議員がインターネットでも公開されてるから見てくれとわめいてたので見てみた。
まあ、大したボリュームもないのでまとめるのもどうかと思ったんだけど、まとめておく。

平成20年自殺対策白書からピックアップ

自殺対策白書
http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/whitepaper/index-w.html

平成20年は、自殺者のうち「原因・動機特定者」は2万3,490人(72.8%)、その原因・動
機は、「健康問題」1万5,153人(64.5%)が最も多く、次いで「経済・生活問題」7,404人
(31.5%)、「家庭問題」3,912人(16.7%)が占めている。

 自殺対策の基本認識
ア 自殺は追い込まれた末の死
○ 自殺は、失業、倒産、多重債務、長時間労働等の社会的要因に加え、健康、性格傾向等の
様々な要因が複雑に関係して、心理的に追い込まれた末の死。
○ 自殺者の多くは、自殺の直前にうつ病などの精神疾患を発症。

イ 自殺は防ぐことができる
○ 制度・慣行の見直しや相談・支援体制の整備など社会的な取組とうつ病などの精神疾患
2 自殺総合対策大綱における基本認識及び基本的考え方
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我が国における自殺の概要及び自殺対策の実施状況
の適切な治療により、自殺を防ぐことが可能。
ウ 自殺を考えている人は悩みを抱え込みながらもサインを発している
○ 自殺を図った人が、精神科医などの専門家に相談している例は少ないと言われている。
○ 家族や職場の同僚など身近な人は、自殺のサインに気づいていることも多く、この気づき
を自殺予防につなげていくことが課題。






個人的感想

山梨の樹海ぱねぇな!
松本清張の「波の塔」以来のトレンドらしいが、最近は一斉捜索とかも辞めたらしいので、違う意味でも凄そうです。


自殺が急激に増えた平成9年、1997年に何があったのか?
ダイアナ元英皇太子妃、パリで事故死。山一證券破綻。
おそらくは山一破たんに至るまでのバブル崩壊かな?
バブル崩壊であがった自殺率が下がっていない。
だとすると日本はバブル崩壊の後遺症を引きずったままなのかもしれない。



経済問題は自殺原因としては30%程度の構成比しかないが、遠因としては結構多くのところに絡んでくるのではないだろうか。経済問題がクリアしていれば解決した健康問題も多くあったかもしれない。
経済が機能していれば医療機関への投資も進むだろうし…



注目したいのは特定の地域だ。
自殺が他県に比べ多いのは次のエリア。
・北海道、秋田、青森、岩手の北陸
・新潟、冨山の甲信越
・和歌山
鳥取、島根の山陰
・宮崎、鹿児島の南九州



自殺件数の多いところはなんか見たことがある県だ。
先日都道府県ごとのGDP成長率とかを追ってみた表でちらほら見かけた。
http://d.hatena.ne.jp/kuippa/20091226/1261828979


島根、鳥取などは公共事業への一人当たりの額が全国で1,2位だ。
他の自殺率が高いといわれている県はどれもかなり上位にある。
経済が悪いから公共事業が増えるのか、またはその逆かはわからないが、結果として公共事業と自殺には相関性がかなりありそうだ。一人あたりの公共事業請負額が多いところは自殺がなぜか多い。
自殺だけでなく人口の増加も残念なことになっている。


出生率が低いワースト10県、
06山形 7.9
15新潟 7.9
35山口 7.9
30和歌山 7.8
36徳島 7.8
03岩手 7.7
01北海道 7.6
39高知 7.6
02青森 7.4
05秋田 6.8


自然増加率が低いワースト10県、
38愛媛 -2.5
03岩手 -2.9
02青森 -2.9
30和歌山 -3.0
06山形 -3.1
36徳島 -3.1
35山口 -3.2
32島根 -3.3
39高知 -3.7
05秋田 -5.2


・・・。
その地域が住みにくいという環境因子ができてしまっているのかもしなれい。
人間という生物として繁殖しにくい場所だから、出生率が低い、自殺率が高い、経済が停滞しやすいなどのコンボなのではないだろうか。
北陸甲信越は雪国だから自然環境的な意味で住みにくい(というよりは物流が困難)というのがわからなくもないんだけど、他の地域はなんだろう。半島や陸の孤島


上の自殺率を日本地図で色分けしたのを見てて気がついたことがあった。
太平洋ベルト地帯は自殺率が低い。

太平洋ベルト(たいへいようベルト)とは、日本の南関東から北部九州までを結ぶ、一連の工業地帯・工業地域を言う。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%AA%E5%B9%B3%E6%B4%8B%E3%83%99%E3%83%AB%E3%83%88


太平洋ベルトが経済の栄養源だとすると、栄養源から輸送の経路から外れる、北陸やどこの経路にもなりえない行き止まりの紀伊半島の和歌山や伊豆半島、高知、宮城、鹿児島などには栄養がいきわたらない。
そこが消費地でもない限りは、経済流通からすると枝葉末節の部分になってしまう。
養分が豊富なあいだは広がろうとするので栄養がいきわたるが、冷え込んできたら指先が冷たくなるように末節から血流がしぼられる。


んー。
だとしたら、自殺対策をおこなったとして対処療法にしかならない。
原因療法を行うとしたらお引っ越しを手伝ってあげることなんじゃなかろうかとか思ってしまった。
あとはそこでしか賄えない産業を作るか。
少なくとも道路を幾ら作っても産業、耐久消費材以外への消費がなければ対処療法にもならないことが見える。
自殺問題を追ってみたら変なところにたどり着いてしまったな……。



診療医療とかが未整備、未発達なのかとおもってた…。
東京の自殺率とかもっと高いんだと思ってた。
実際にデータを追ってみると思っていたことと現実は違うことがありますな。