ぼくらのフラグがたちまくり

消費税関連法案の「関連」で扱われたなかに、所得税贈与税相続税フルコンボではいっていたのはみなさまご周知のとおりなんだが、その関連でどれくらい影響があるのか調べ物をしてたら変なところにたどり着いておもしろかったのでみんなを誘導してみる。


動画でみた演説がおもしろかったので、本かっちゃった・・・
独立国家のつくりかた 坂口 恭平 (著)



独立国家のつくりかた (講談社現代新書)
http://zero-public.com/



文章としては、まぁ趣はないんだけど、人物が面白い。だから本としておもしろかった。
これは強アルカリな面白さであり、何かをぶっこんで溶かして反応させたら愉快だねーというもの。この人と反対ベクトルを持った強酸なひととぶつかってしまうと面白くなくなってしまいそうだ。「だけど」とか「でも」とか、「それで?」とかの反論、論理的な詰めはあまり意味をなさない。
自分のものではない土地を占拠して建物をたてるとかヤクザ屋さんと何が違うの? とギリギリな線だけれども、肝心の一歩を踏み外さない感覚というのが矜持なのか。
ブレーキがいい感じで外れているので佐賀のあそこらへんの市長と組んだらおもしろそうだなぷくくっと思ったりした。



建物自作とかは自分も同じようなことをやってしまっているので今日のお前が言うなに認定されてしまうのだけど、どうやって生きていくのよ?とその人なりに考えた結果が、その他大勢の世間常識と違う結論なひとって、

1.単純な思い違い
2.前提条件・環境条件が違う
3.価値基準が違う


ここらへんのどこかに分類されるとおもうのだけど、3番の場合は観察しがいがある。
なぜなら、価値評価基準というのは、時代背景によって大きくシフトすることがあり、時代の流れしだいでは、ニッチャー(すきま人間)が、主流にとってかわることがあるからだ。



坂口氏は態度経済という単語をつかって表現していたけど、それが評価経済でもなんでもいいのだが、近い将来、モラルシフトがおきて将来が現在の価値の延長線上になくなってしまうんじゃないかという可能性は相当程度考えなくてはならなくなったように思う。
潮目がかわりそうな、フラグを思考整理がてら書きだしておくので以後も観測点として注目したい。


家計の消費の動向

20年も物価水準が横ばいだった中での5%の消費税率引上げに家計が耐えられるか。
来年の1月1日から震災復興増税が個人で所得税に+2.1%どかーんときて、法人は+10%*1という形でずがーーーんっとくる。25年間。消費税や、所得税贈与税相続税はさらに再来年から段階的にあがる。勤め先の経営状態は悪化し、オールドエコノミーに属する中小零細、個人事業主はおそらく一瞬で駆逐されるだろう。国民に財産を所有することを許させないような施策だが、そのような状況下で家計の消費がどこまで現状の路線のままいけるかには要注目。


ここに注目:
総務省 統計データ 家計調査 最新結果速報 平成24年6月分(平成24年7月31日公表)
http://www.stat.go.jp/data/kakei/2.htm#new
内閣府ホーム 月例経済報告(月次)
http://www5.cao.go.jp/keizai3/getsurei/getsurei-index.html


世界の選挙

2012年は米国、フランス、ロシア、中国、韓国、台湾など世界中で大統領選挙や議会選挙がある。フランスの選挙はすでにおこなわれ、ドイツとの協調路線が崩れた。アメリカの選挙は12月だが、選挙を経て各国の連携や方針が大きく転換する年になることは間違いない。日本もまた主流派が入れ替わるような規模の選挙があるかもしれない。韓国はまぁいいとして、中国の方針には警戒をしなければならないし、ベトナムのようなところにも注目したい。


各国、与党が選挙のために景気の浮揚策をうちだすので世界的にGDPが上昇しやすい局面にあるのだが、日本は景気を鈍らせる路線をとった…。なんでだかはわからない。
http://www.nikkoam.com/files/fund-academy/rakuyomi/pdf/raku111229_01.pdf

ここに注目:それぞれの国の大統領の方向性


日本経済の成長率

消費税の経済への影響 ―消費税をめぐる論点?― 財政金融課 松浦 茂氏の論考が参考になった。
http://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_3493190_po_0752.pdf?contentNo=1
増税による、影響がどの程度かは下記の点をウオッチすればよさそーだ。

2013〜2016 年度の平均成長率は実質1%強となり、仮に社会保障・税一体改革を考慮しない場合の同時期の平均成長率、ならびに中長期(2011〜2020 年度)の平均成長率とは大きな差はない姿となる

内閣府「経済財政の中長期試算」(平成 24 年 1 月 24 日)では、「慎重シナリオ」(2020年度までの平均で名目 1%台半ば、実質 1%強の成長率)

ここに注目:実際の成長率が実質で1%台を維持できるか。+で終われるか?
ぶっちゃけ-1.0〜-0.8%ぐらいのレンジになるんじゃね?と思ってる。
あと実質のなかに、社会保障増加分とかをいれてちゃダメだろうと思うし、投下したお金の動きがわかりづらすぎるから政府はキャッシュ・フローを明確にしてほしい。フロー無視してプライマリーバランスいっても意味ないだろ。


企業の開廃業率

中小企業白書は俯瞰でみるには便利だが、統計情報が出るのが遅い。
そこで、倒産速報もみておきたい、


大型倒産速報 | 帝国データバンク[TDB]
http://www.tdb.co.jp/tosan/jouhou.html
倒産速報 | 最新記事 | 東京商工リサーチ
http://www.tsr-net.co.jp/news/flash/


ここあたりを見ながら、へーって思うのがいいと思う。
帝国データバンクの統計情報はいつも綺麗にまとまっているので、わかりやすい。
前年同月比などはリーマンショック以降、東日本大震災もありあてにならない。倒産件数を見るよりも負債総額の合計値を見ると、ほへーって思えるだろう。思うだけで、潰れた会社がよみがえるわけでもないので、あくまでマクロな視点でみるよりない。だから俯瞰しやすい。
不況型倒産の割合が多いんだねとか、7月だけで7000億も消えてるんだーと思うと、現状がどういう景況感なのかわかる。政府発表の綺麗な統計値には現れない現場の阿鼻叫喚図はここにある。業種ごとの推移をみると、不況に繊細に反応する業界から、鈍いけど潰れたらでかい業界などがあって、そういうのに見慣れると不況がどの段にあるのかがわかるようになる。


中小企業白書
http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/h23/h23/index.html

ここに注目:企業の開廃業率と負債総額、業種ごとの倒産件数


人々のマインドの変化

これが一番拾いにくい。
大津の教育委員会や、寮襲撃だとか、営業所火炎瓶だとかだと過激派はわかっても、サイレントマジョリティを拾えない。また、象徴としてのなにかがないと過激派もいるのかわからない。ただ、どこかのタイミングで、ひとびとの「あたりまえ」に変化があるはずで、それが定量的にわかったらいいなと思うのだけど、あまりいい方法がおもいつかない。
ツイッターのツイートを機械解析かけて感情分析とかつくってみたけど、こんなんじゃねぇなみたいな。
いまの日本で一揆はありえるか? 夜も寝れなくなりそうなお題だけど、むずかしそだなー。


自然災害

回避策はないけど、規模によって人々の価値観に大きな影響をあたえるものなのでさらなる兆候に要注目したいところ。地殻が変動幅がおおきいので今後もM7程度はおきると思っていたほうがよいレベル。もちろん関東でも。日本だけではなくアラスカやアメリカ西海岸だって可能性として捨ててはだめだ。


火山噴火も富士山だなんだといっているけれども、3.11より数百キロ距離を置いている火山に注目したい。


北朝鮮と中国の国境付近にある、白頭山
択捉にあるグローズヌィ(イワン雷帝
桜島など九州の活火山

いずれもあまり良くない兆候がでているが、これらの動向から何かわかればなーと思う。
過去の火山噴火、噴出量情報と地震情報のデータベースつくって、なんかないなかーって前つくってみたんだけど、いまいちぐっとくる相関がみえなかった。もうちっと考えるともなしに考える。


おまけ

買ったら罰金→消費税
持ったら罰金→固定資産税
飲んだら罰金→酒税
死んだら罰金→相続税
働いたら罰金→所得税

働かなかったら賞金→生活保護
By 詠み人しらず

*1:軽減税率の引き下げが4.5〜3.0%ある

消費税増税関連法案の関連で済まされてる部分がやばすぎる

昨日、消費税増税についてかいたのだけど*1、金融とかのほうのとある師匠が、いやぁーあれやばいのは「等」のほうでしょと言っていて、その内容を聞いたらマジで!??と思うような内容すぎて調べざるを得なかった。そんな話聞いたこともねぇよ!そんな報道みてもないよと!消費税関連法案 相続税でぐぐれといわれて初めて知る。


消費税増税関連法案! 関連!!!!って、関連で済ませてるけど、所得税贈与税相続税とかもどさくさに紛れてえげつない増税やないかー!!なんでも、いままで影響なかった層にまで2倍以上に影響があるのではないかということ。


正式名「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律案」
ヲイヲイヲイヲイ、”等”ですますな!ナドで済ますな!!こっちのほうが世間的影響でかいじゃないか。所得税増税のうえ、消費税増税かよ。


http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/180/meisai/m18003180072.htm

社会保障と税の一体改革
議案要旨

世代間の早期の資産移転を促進する観点から所得税最高税率の引上げ及び相続税基礎控除の引下げ並びに相続時精算課税制度の拡充を行うため、消費税法(昭和六十三年法律第百八号)、所得税法(昭和四十年法律第三十三号)、相続税法(昭和二十五年法律第七十三号)及び租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)の一部を改正する


超意味不明! 世代間の資産移転を促進って、若者→高齢者のことじゃなイカ!!
変更された所得税

百九十五万円以下の金額 百分の五
百九十五万円を超え三百三十万円以下の金額 百分の十
三百三十万円を超え六百九十五万円以下の金額 百分の二十
六百九十五万円を超え九百万円以下の金額 百分の二十三
九百万円を超え千八百万円以下の金額 百分の三十三
千八百万円を超え五千万円以下の金額 百分の四十
五千万円を超える金額 百分の四十五

控除にも変更がある模様だが細かすぎて変更点が追い切れない。
たぶんここが所得税の場合重要。専門家の解説がまたれる。
現行、所得税はここを参照
http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/2260.htm



相続税法は下記のような税率に変更になる。

千万円以下の金額 百分の十
千万円を超え三千万円以下の金額 百分の十五
三千万円を超え五千万円以下の金額 百分の二十
五千万円を超え一億円以下の金額 百分の三十
一億円を超え二億円以下の金額 百分の四十
二億円を超え三億円以下の金額 百分の四十五
三億円を超え六億円以下の金額 百分の五十
六億円を超える金額 百分の五十五


贈与税は下記の様に変更になる

二百万円以下の金額 百分の十
二百万円を超え三百万円以下の金額 百分の十五
三百万円を超え四百万円以下の金額 百分の二十
四百万円を超え六百万円以下の金額 百分の三十
六百万円を超え千万円以下の金額 百分の四十
千万円を超え千五百万円以下の金額 百分の四十五
千五百万円を超え三千万円以下の金額 百分の五十
三千万円を超える金額 百分の五十五

相続税法
http://www.houko.com/00/01/S25/073.HTM
現行税率
http://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4155.htm


どちらも最高税率が5%あげられると共に、課税ベース額面が下げられている。

物価が持続的に下落する状況からの脱却及び経済の活性化に向けて必要な措置を講ずる。

物価下落から脱却ができると思っている理由を知りたい。
経済が活性化すると思っている理由を知りたい。

高齢者が保有する資産の若年世代への早期移転を促し、消費拡大を通じた経済活性化を図る

所得移転における移転障壁をあげることでどうして移転が進むのか。
税率をあげるとなぜ消費拡大をすると思っているのか。


こんなタイミングで増税しても非ケインズ効果なんかねぇぇぇぇええよおおおおおと叫ばずにはいられない。


国民の資産、財産の所有を許さないような舵取りなのかね。
なぜこのタイミング?


ホント意味わからなすぎて、何をどう考えたらそうなったのか御用学者さんの意見でもいいので聞きたい。
誰かわかりやすい解説しているひといないかな?

増税時代の死活点とイカ

領土を守れない領主様が財源がたんねぇと税率をあげなすった!
遺憾のイどころか、イカまで行く勢い。遺憾のイカミサイルだ。イカってロケットっぽいよね!
烏賊跋扈。イカバッコとかいうとイタリア語っぽいよね!デュフフ・・・



税率あげるしか打つ手がないって、信長の野望だったら詰んでるコース。
ここからどう立て直すのか、はたまた立て直せず、ソフトリセットがかかるのか、もしくはハードランディングがあるのか日本で生活をする身としては気になるところであります。


燕雀いずくんぞ鴻鵠の志を知らんぜよということで、民から見ると、愚策に見える策にもなにがしかの理はあるはずで頑張って考えてみることにしました。もしかしたら死活点があるかもしれない。あったらいいね!!




増税の建前

社会保障の安定財源を確保でき、社会保障の改革が進む。


建前的な理解

社会保障の財源が足りずこのままでは収支構造が債権だよりになってしまうため消費税を目的税として増税する。
年収300万の家計にて25万、500万の家計にて33万の負担増。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/economic_confe/list/CK2012081102000252.html


目論見の解釈

税収が下がっているが、国債などの歳出は増えており財政の収支、プライマリーバランスがおかしい。税収を上げる算段をしなければならない。


目論見の裏読み

法人の国際化が進み、徴税できなくなっている。法人税所得税での課税を諦め徴税しやすい、徴税根拠のはっきりしている間接税として消費税導入をしたい。


現実的な予測

国内の経済が著しく萎縮する。上場企業だとしても税引き前利益に売上の5%をかけてなんとかなる大業種分類など無いのではないか。5%分のインフレと想定されるが、企業にとっての販売管理費である人件費はそれによって上昇などせず圧縮される方向にいくので、人件費が下がり、物価があがる状態になる。結果、企業から競争が奪われ消費者は良いサービスをうけられなくなる。


加えて、人口は毎年1%以上のスピードで減少し生産人口動態としても歳入は減少することが明確に見えている。このような状態で増税をしたところで税収は増える見込みは無く、経済を萎縮させる要因にしかならない。つまり建前や目論見がハリボテ以下にしか見えない。ハリボテ烏賊だ。
のみならず、社会保障目的に税を使うということは、喩え貯蓄に走ろうが、貯金を使うときには徴税されるので、これからお金を使う若い世代への負担の世代間移転となる。


企業の経営環境は悪化し、労働資産(これから働いて資産を得ようとする)若年者層の収入抑止につながる。世帯収入500万の家計は税負担が増えなければ600万稼げる可能性が十分にあったところさらに経済環境が悪化し家計の将来収入は400万程度に抑えられる可能性まである。増税は家計の直接負担のみならず間接的にも現在若者家庭の将来価値を著しく損なう。計算とかするまでもなく、どーかんがえても日本の将来価値を毀損する策にしかみえない。


裏読みの目論見読み

であるならば、いっそ経済や日本の将来価値を萎縮させるための策がうたれたのだと考えよう。経済をシュリンク(萎縮)させるのが目的の政策だと考えてみよう。ちなみ烏賊はシュリンプ(エビ)が好物だ。



将来価値を損なわせることに理はあるか?
普通に考えれば無い。
だが、あるとすれば外的要因だ。
なんだろう?
この2年ぐらい中国をはじめ、米国の貨幣供給量を中心とする通貨政策がおかしい。



日銀の公開しているマネタリーサーベイを見ると、政府向け信用(純)が増える一方、その他機関向け信用が絞られている。
http://www.boj.or.jp/statistics/money/msa/index.htm/



日本円の円高は、表向きには消去法で日本経済がだとか、それでも日本円が安定だとかなんだと理由付けされるが、なんということはない。中国、米国のマネタリーベース(通貨供給量)が2倍から3倍に増やしているのに対して日本は通貨流量を増やさなかった。相手の貨幣価値が1/2以上にまで薄まっているのにこちらが薄めなかったら濃度に差が出るのはあたりまえだ。


http://kokka-vision.jp/_src/sc1203/92868CB4.pdf
だから円高が起こったとも見ることができるのだが、日銀は以前としてその供給量を増やしそうもない。それどころか対外資産が増え預金通貨まで増えている。

現状、いちども貨幣や紙幣へ実体化されることもなく、帳簿上の数字のやり取り、右から左へ移動するだけでお金が増えていく現実に対して、消費税という流通税をかますことで通貨を持つ国家としての存在は主張できるようにはなる。主張することで邪魔者扱いされなければだが。


増税は吹き上がるマネーに対してびっくり水を掛けるような効果はあるはずだ。副作用としてまっとうにやっている方まで萎縮が激しくなるが、大鍋からお湯はふきこぼれさすよりはマシだという判断なのかもしれない。



どう振る舞えばよいか?

企業の存在意義は新発10年ものの国債より高いパフォーマンスをあげられるか否かがボーダーラインだという。国債より利回りが悪いなら苦労してビジネスなどやらずに人々は合理的な行動をとり国債を握るはずだという前提だ。だが人々はそんな風に割り切った行動はしない。特に日本の商売は非合理的である。


日本のように貯蓄が多い国で貨幣価値を薄めることは、資産を取り崩すことと同義だ。日本人が大切に貯めてきた虎の子の1000万円貯金は現在価値で500万なっちゃいましたー、テヘペロといったら、蟻ん子よろしくコツコツ働いて貯めて貯蓄をしてきた蟻さんの将来設計が死んでキリギリスが生き残ることになる。キリギリスを殺すなというのがアメリカであり、アリを守れというのが日本だ。多数決ならそうなる。そう多数決ならまだ貯蓄のない若い日本のアリが死ぬのもしかたのない話しだ。



日本の経済が萎縮することを前提に考える。あまり変化がないのであればいままで通りでも問題がないから。な烏賊ら!
予測される環境変化にあわせて変わる準備をしていくよりほかないが不確定な部分が大きく影響範囲は読み切れない。しかし、どこにまず影響がでるか、直撃するところはわかるよね? 流通する段でかかる消費税増税は日本の古来からのいくつかの商売を徹底的に潰すことになりそうだね。


小規模商業の分野

仕入れ価格にかかる消費税分が小売店自転車操業の現金(キャッシュ・フロー)を著しく圧縮することになる。小規模事業者は現金で仕入れをおこなっているからだ。
流通に介在する中間業者、仲卸などは存在が難しくなるだろう。卸し業は仕入れから回収までのサイト(期間)が長い。実際にものが売れるまでの間、消費者に変わって税金分を建て替えすることになるが、資金力の乏しい業者の経営を圧迫することは必至だ。
大企業の商品を卸しなどから買って、低い粗利で商売をしている街の小売商業者にはとどめが刺さることだと思う。彼らは粗利がわずか数%(!)で、販売管理費の増は量販店のそれに仕入れ値でも販売価格でも著しく叶わない、既に息も絶え絶え状態なのだ。

大規模商業の分野

人々の可処分所得が減るので、そもそもお金が使われなくなる。そうすると、少ない市場を奪い合う競合の脅威が高い状態となり、採算分岐点が著しく下げられる。非採算店の整理をかなりシビアに行わないとならなくなるだろう。
薄利多売品構造にも影響をおよぼす。売れなかった商品の廃棄率など商品仕入原価への消費税分の歩留まりの悪さはやはりここでも良い影響はない。

製造の分野

製造から販売までを行う垂直統合はさらに進むことになる。農家や畜産農家や漁業などが、加工業者を抱えそのままネット通販などに展開するような完全な垂直統合や、仕入れをせず、OEMのようなカタチで加工賃のみをもらうような業態に切り替えていくよりない。仕入れたものを売るという商い形式から、求められた仕事をこなして賃金をもらうという役務提供型へ労働形態がシフトすることになるだろう。だがこれは派遣社員になることと何が違うのか。技能の熟練などについて、企業から人へのリスクの転嫁にすぎない。

加工業の分野

大企業しか買い手がいない購入者の脅威がとても大きい分野ではより利益が圧縮されることになるだろう。サプライチェーン・マネジメントにぶら下がって仕入れて加工して収めるというような一工程のみ担当する商売も存続が難しくなり、これもまた技術をもった役務提供という派遣のような形態として従事することになるだろう。

サービス

渉外、調達や、物流、物産などのマーケットも大きく減損する。あそこから調達、ここに物流というカタチより、アウトソーシング化したほうが5%以上も安くなるのであれば、商売の才覚など挟み込む余地はなく労働提供に近いものになるだろう。

産業全体として

調達や製造や販売などの抱え込み大規模化が進むことになる。規模による優位を得るよりしかたない状態になる。大規模化はさらに進むことになるだろう。
しかし、ここにも罠があって、大規模化を行うと、技術革新などがあったときに対応できなかったり、代替品、代替技術の登場により小回りが効かず、大きく躓くことになるのは、製造の工場まで垂直統合をおこなっている家電業界などを見ればよくわかるだろう。資金調達が重要になるが、その回収までの圧力はとても短いものになりそうだ。大きな会社が瞬時にできたとおもったらいつの間にか潰れてたというようなサイクルを繰り返すことになりそうだ。設立から回収撤退まで2年とかね。
資金調達をしたものと、役務提供をおこなうもので産業が構成されるが、成熟市場におけるリスクとリターンを考えるとどちらをやるにも寝てたほうがマシなレベルにしか見えない。新発10年ものの国債より低いリスクでそれより高いパフォーマンスをあげられるだろうか?



いったい、なにができるのだろうと頭を抱えてしまう。八方丸く収まる解決方法などないが、死活点も思い浮かばない。
垂直統合が進みそうだということと、おそらくキャッシュの支払サイトや、回収などがきちんとできるか?など、資金まわりの需要が高まりそうだなとは思う。


しかし、それは日本国内で完結したばあいであって、海外を考慮して資金循環をみるとそんなシナリオは成立しない。製造における垂直統合についても海外への製造委託や調達、販売を無視することはできないし、海外生産、調達は選択肢としてもっておかないといけない。


国内増税によって影響をうけにくいのは自ら生産をおこなう一次産業だが、それも近代ではどうだろうか。近代農業や畜産などはその生産性向上の為に、とても長いスパンの投資を必要とする。畜産などは大きなお金をかけて、回収できるのは数年後というとても回収が長くギャンブルのような投資だ。商売として一次産業を考えた場合、脅威が多すぎ大きすぎる。


TTPを結ぶとかFTAのような自由貿易協定先からものを仕入れてそのまま売るみたいなやり方しか残されていないのではないか?それをやるにしても、縮小するマーケットでは意味がない。中国の人口ボーナス期もそろっと終わる。何かが大きく変わる前夜だとして、暴走しないようにかけた自縄自縛なのかな。ハードランディングを避けるためにお前ら泣いとけっていうことなんじゃな烏賊。
なんとか息づきできるのは規模によらないコストの優位性が確保できる分野ぐらいかなー。ぐら烏賊なー!!




あと、おまけ。あまり考えてないので本文とはかんけい無い。
・政府にもキャッシュ・フロー計算書の報告を義務付けとけばー?
財務省を徴税するところと予算編成するとこわけとけばー?
・東京自衛隊とか鳥取自衛隊みたいのつくっとけばー?

外部仕様から「勝手に入るゴミ箱 Smart Trashbox」を追う。

勝手に入るゴミ箱作った Smart Trashbox について、今日どんなスキルセットが必要か三鷹プログラマーズカフェで雑談してたのだけど、テレビ東京WBSトレたまで本人への取材があったようだ。
倉田 捻さん、自動車メーカー勤務、制作期間1年 ほとんど一人だそーだ。


3年ぐらいかかってますよとか、これどっかの会社のプロモーションだよとか、同人チームだよとかことごとく予想外れたね。
http://www.tv-tokyo.co.jp/mv/wbs/trend_tamago/
http://youtu.be/NqDTE6dHpJw




1. 台車設計

3つの車輪による動態制御。
動画を詳しくみると1つのサーボで車輪旋回、車輪回転をおこなっていることがわかった。
このゴミ箱の場合、車輪そのものが回転をするので、トルクは伝えやすい反面、ベクトル計算が結構厄介なのではないかと思ったが、すべての車輪が進行方向に向くように制御されることで落下地点まで直線で移動しているのかもしれない。

てっきり車輪ごとに感応性の高いサーボモーターを使っているのかと思ったが、底面中央につけたひとつのサーボモータで行われているようだ。ギアベルトが2系統あり、車輪を動かす用と、車輪を回転させる用にギアチェンジをしているようだ。ベルト+歯車でよく回転角制御できるなー!


動画を見た直後に思い浮かんだものより相当シンプル。
3輪の全方位移動 ロボットはあまり聞いたことがながいま調べてみたらこんなのがでてきた。
http://www.ir.his.u-fukui.ac.jp/ja/intro/article/h17/c18.pdf
通常はこんな感じでベクトル計算を行ってしまうが、頭かてぇょという事だろうか。
うえの論文にもでている浅間一氏の講演を聞いたことがあるのだが、全方位移動については横方向への移動を実現するために車輪に横回転できるベアリングなどのミソポイントを聞いたことがあるが、まさかまさか車輪をぐるぐる回してしまえばいいじゃない!というコロンブス的な解決方法はちょっとなんか素晴らしい。
http://www.robot.t.u-tokyo.ac.jp/~yamashita/paper/A/A008Final.pdf

このモーターはブレーキ付きだろうか?多分ついてるよね。一個数万するよね。高いよね。
でも、もしブレーキを駆動系とは別に制御してたらどうしよう。なんかストッパーっぽいのも見えるんだよね・・・。


2. 旋盤

自動3D旋盤は相当高いらしい。手動の卓上フライス盤(?)ももっているとか何者だという感じであるが、自動車メーカー勤務であれば納得だ。会社所有のものを借りたのだろうか?綺麗な機械だったので実務ではなく研究用か?CADから手動穿孔までを一人でやってしまうのがすごい。高専などで専門の教育をうけたのだろうか?

3. 電子回路設計

基盤設計とかさっぱりわからないけど、他の人の話しを総合するに、基板も設計データをおこして、そのまま海外にオーダーを依頼すると1〜2週間ぐらいで数千円であがってくるそうだ。これなら個人のお財布にもお優しいよね。
http://d.hatena.ne.jp/itog/20120224/1330052727
海外に発注したのかどうかは知らないけど、日本の業者に依頼すると最初のロットで数万かかるらしい。


この秒数のところに現れる基板、何をするための基盤だか解説できるひといる?
http://youtu.be/NqDTE6dHpJw?t=1m17s


4. 部品組立

この段が簡単に思えるほどの他のフェイズの難しさよ

5. プログラミング

Kinectプログラミングというよりは、シリアルポートで制御系のプログラミングという感じ。
射出位置が特定できないので、放出物落下までの間に最低3回は投げられたターゲットを検出しなくてはならない。3回拾えれば、落下点計算ができる。2点検出だと、頂点を迎えてしまった場合、速度を見誤る可能性がある。Kinectにそこまでの秒間スキャニング能力があるかを聞いてみたが、遮蔽空間であれば結構拾えるとのこと。底面にレザーポインタが見えるのでマウスよろしく床面距離計算などをして、ゴミ箱自身の移動距離などの補正をおこなっているかもしれない。

これをやるのに必要なスキルセット!

・CAD
・台車設計
・電子回路設計
・基板発注
・ハンダ付け
・動構造組立
・物理演算
・動作チューニングなど
・制御系プログラミング
・KinectAPI
・動画編集
・情熱とそれを維持する力



えっと、無理だな!!
すげー・・・



他、今日話題にあがってた

防衛省が開発した「球形飛行体」
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1110/20/news128.html

原発、電力、いじめとトップダウンとボトムアップ

トップダウンは効率がいい、しかし、間違ったことを効率よくやることがある


ボトムアップで何かが決まることはあまりない、だから、大きくは間違いようもない



トップダウンで決まったことをボトムアップで変更することはクソむずい。
そこでボトムにしわ寄せがくるとなんとかしてトップを変えようとする。選挙であったり革命であったり場所や時代によっては血がながれたり流れなかったりして、力のあるものがトップになる。サルの時代から原理はあまりかわっていない。



原発運動というものを考えてみる。

原発運動、つまり反体制から力をつけて、トップになるものが出るだろうか?
おそらく出ない。
オカルトマーケティングや喧伝により、現在の体制の中でそれなりに力をつけるものはでるだろうが、それは体制のトップにはなりえない。短期で見分けるのは難しい程度に迷彩のうまい人物が清濁併せ呑み、力をつける可能性はあるが、それは時運を好機として利用した程度のエピソードにとどまるだろう。


賛成派
	直接の利害関係者
		給料さがるの嫌です
		補助金をもらっているよ
		天下り先必要です
		あぁ、わしの企業年金がぁぁ

	経済が心配派
		貿易赤字ひどくなるよ
		産業を支えるのに必要だよ
		エネルギー安定がやばいよ
		原発が資産から負債になると電力会社会計上やばいよ
		電力会社飛ぶと銀行もやばいよ

	コスト合理派
		原発止めても発電させるのと変わらない保守が必要だよ

	軍備派
		核武装に必要なんだよ

	トンデモ派
		人間が進化すれば問題ない

反体派
	自然災害派
		大きな地震がまたおきるよ
		地殻変動で地震おきやすくなっているよ
		津波もおきるよ
		噴火もおきるよ

	安全対策がまだ疑問だよ派
		フクシマと同じことが起きてもまた対応できないよね
		まだディザスターリカバー目処もたってないよね
		地震で壊れるオンボロなんじゃね
		事故対応お粗末すぎたよ
		事故原因の調査もお粗末じゃね

	コスト合理派
		いい機会だしクリーンエネルギーに投資したら?

	安全保障上の懸念派
		標的としてチョロすぎだよ

	判断保留派
		断片的にしかでてこない情報から判断できるわけないじゃん

	脊髄反射反対派
		ともかく原子力とかなにそれ怖い

※ちょっと考えてみた樹形図



2chの元管理人ひろゆきは、次の選挙がポイントなんじゃないのと言っている。トップダウンで決まったものはトップダウンでしか覆せないというのにはじつに論理的だ。

原発運動を成功させる方法。
http://hiro.asks.jp/86730.html


だが、日本では選挙という制度で意思決定ができるトップが決まっているのか考えると、それもまたあまり愉快ではない結論になる。ぶっちゃけ政治家が誰だろうが明日の飯がどうなるわけでもない諦観がある。
例えば選挙をやったとしても、原発反対という人が本当に反対しているのか、ポーズとして反対しているのかも区別がつきやしない。政治家には規格もなければ瑕疵担保責任もない。政治家がクルマなら、このクルマは動くのかハリボテなのかもわからない。ポスター一枚で選ばないといけない。買わないとわからないけど買ってみたらナンダコレハ!状態でもそれを裁く仕組みはない。



選挙がどういうものか考えてみよう。

毎年の日本の国家予算を80兆円とし、有権者数を約1億人とすると、一人あたりの分配権限は784,000円に相当することになる。国政選挙なんて数年に一回なので、一回の選挙で数百万円分の権利を政治家に託しておるわけだ。
だけれども投票用紙を1万円札にしたらかなりの数の人はそのまま持って帰るんじゃないかと思う。他では黙って毎年平均百万を越す税金を支払っていても、源泉とかでよくわからないうちに取られて、よくわからないところでその使い道が決まっているものの使い道よりも目先の1万のほうがシビアなんだ。



一万円を包みたくなる政治家いるかい?




いないな。だけれども建前としては個人あたり毎年100万円近くの予算権限を彼らに委託していることになる。その予算の淵源はすでに回収された税金か我々の将来価値だ。やれやれ。名目と実質が著しくあっていない。


どこかがおかしい。
選挙というプロセスの価値が毀損しているか、政治家というものの権限が実際はないか、それとも国家予算の評価がおかしいか、なにかしら理由がありそうだ。



他の国だと、選挙で政権が変わると、政策を担当しているエリート層の入れ替わりがあるが日本ではそれがないので、官僚のお飾りになっていて、同じひとが実務を握ったままだから運営が変わるわけでもないとか、検察官起訴による有罪率は99.9%で無罪判決は0.005だとかで三権分立もされていないとか、なんちゃらかんちゃらで実際政治家に予算権限なんかないのが主な理由なのではないかと思う。もしくはその複合か。


ほぼすべての人がすでに既存の仕組みのなかに組み込まれている。マイノリティさえ、犯罪者でさえ体制に組み込まれた利害関係者だ。何かを議論しようとしたときに、各論で少数派になることはあれど、総論では多数派になる。


いじめ的社会

社会性動物の群れになんらかのストレスが与えられると、もっとも影響が少ない少数派から切り捨てがはじまる。切り捨てが始まるというと聞こえが悪かもしれないが、他人を思いやる余裕がなくなるというのが正しいかもしれない。例えば、学校でいじめなどが始まったときに、次に警戒するのは自分が暴力のターゲットになるかもしれない事であり、それを忌避するための行動が他人を救うより上位にくる。
自分を強く見せるための示威ディスプレイはたいていの動物にはつきものでなくせるようなものでも、なくすものでもない。暴力が常態化したり、同じ対象に向いてしまうようではそれは示威行動とはいえず個体として一緒いしておいてはいけない類だ。そこに陰湿化や隠蔽化が当事者間ではない別の問題ではさまりこむといじめという問題に発展する。



事故はおきるものだ。



おきた事故にたいして、責任を追求されたくないために、利害関係を曲げたりして筋を通さない。スジを通さないというと任侠道っぽいが、そういう通されなかったスジのシワはどこかに寄るわけで、いま、もしくはこれから世界でおきようとしていることはそういうもののツケ払いなのかもしれないねと。




規制当局のありかた

本来、政府などの規制当局は産業の競争レベルをあげるために存在する。市場の競争レベルがあがることで製品の品質や安全性があがり価格はさがり、消費者への社会的厚生状態が高い状態になる。


電力は現在のところ完全な独占市場として構成されている。規制当局による参入障壁、また規模の経済による参入障壁などの鉄壁の参入障壁が存在するため電力業界への新規参入の脅威から隔絶した状態にある。
ここで注意深く見守りたいのは、規制当局による介入が新規参入障壁として作用している点だ。安い電力を安定的に供給するのは社会的厚生が高い状態であるといえるが、その安さが将来負担への先送りになっていただけなのではないかという疑念が生ずる。



原子力発電所はとてつもなく長い期間みなければ減価償却できない、「超耐久消費財」だ。耐久消費財の特質は壊すのにも維持するのにも金がかかる点だが原発の場合は壊しても金がかかり続けるところが厄介なのだ。


30年動かすことを前提につくられた原発を10年で止めれば、資産であったものが負債にかわる。いきなり電力会社は債務超過に陥ることになる。債務超過で電力会社が破綻したとしても、原子力発電所は保守をしなければならないし、核燃料廃棄設備は安全に最上級の注意を持って保守されなければならない。


この廃棄物の処理という評価をどのようにするかで原子力発電というものの将来価値に大きな影響を与える。そのコスト計算に事故対応費や廃棄損をどのように見積もるのか、破局的事故がおきてしまった場合、そのリスクアセスメントはいち民営会社として許容しうるのか。また国家として許容しうるのか。そこに住まう国民はステークホルダーであり利害関係者はどの生活へのダメージをどのように吸収すべきなのか。


今回はあのような原発の事故だったが、廃棄設備の事故の場合はどうなるか、はたまた格納容器が大規模破損するようなさらに深刻な事故がおきていたらどうなるのか。規制当局はその価値評価を真摯におこなわなければならない。あと30年もすれば日本の就労人口は2/3になる。そのなかで、その維持がはたしてできるのか。10年後も古いものを使い続けられるような投資をして後発の国と競争力を維持できるのか?
そのうえでどのような規制が妥当だったのかを評価してもらいたいもんじゃわぃのぅと思うのでありました。



個人で地震データベースをつくって、うりうりしてたのだけど、マグニチュード9の地震がおきると、M7クラスなら500〜1000キロくらいは平気で飛びます。結構露骨な数値で顕著にバックテストでも知ることができる。M7クラスで計算すれば金利より高いオーダーだったと記憶してるんだけど、再稼働とかの判断の環境としてその確率変動わかってんのだろーか?と、ちょっと不安に思うのでした。

http://kuippa.com/blog/2011/12/04/%e5%9c%b0%e9%9c%87%e5%89%8d%e5%be%8c%e9%96%a2%e4%bf%82/
http://kuippa.com/blog/2011/05/13/%ef%bc%93%ef%bc%90%e5%b9%b4%e3%81%a7%ef%bc%98%ef%bc%97%ef%bc%85%e3%81%8b%e3%82%82%e3%81%a0%e3%81%91%e3%81%a9%e4%b8%80%e6%9c%88%e3%81%a0%e3%81%a8%ef%bc%92%ef%bc%8e%ef%bc%94%ef%bc%85%e3%81%a0%e3%81%a3/

えぇー40歳で引退だって?じゃぁボクも引退なんだねカツオくん?

いやだなぁ、マスオさんは28歳じゃないか。*1
40歳どころか、プログラマなんて35歳定年制だっつうの。

雇用流動化へ「40歳定年を」 政府が長期ビジョン
http://www.nikkei.com/article/DGXNZO43478440X00C12A7EA2000/
管理職に変わる人が増える40歳での定年制もできる柔軟な雇用ルールを求めた。
...
もっとも定年制の前倒しには労働者の強い反発が必至だ。


原文を読んだら、あらあらあら、なんでこんな記事になっちゃったかなという感じ。
労使の対立構造にもっていきたかったのかな?

内閣官房 国家戦略室 フロンティア分科会
http://www.npu.go.jp/policy/policy04/archive06.html
第4回 フロンティア分科会 配布資料
http://www.npu.go.jp/policy/policy04/archive06_04.html#haifu
資料3  繁栄のフロンティア部会報告書
http://www.npu.go.jp/policy/policy04/pdf/20120706/shiryo3.pdf

バラ色の未来だー的な提言から始まっていて、目指すべき 2050 年の繁栄の姿 が実現できなさそう過ぎて涙がでてくる。「40歳で引退」という見出しがいかに釣りかはこの配布資料を読めばわかるのだが、実際それで興味がでて本文までたどり着いたので日経グッジョブというべき、なのか・・・?


理想や解决策は人によって大きく違いがあろうが、ここで問題として提議されている環境予測について異論のある人はあまりいないのではないだろうか。
この部分がよく書かれているが、文中で「こういう問題があるので、こういう風に解決したい」と、五月雨式にかかれていて、まとめられていない。


だが理想ということは裏返せば今はそうなっていないという事だ。
なんで、現状理解のために裏返してみた。


理想が多いぶん、弱みばかりになってしまった・・・
ちょっとSWOT分析的にかいてみた〜



外部環境

機会

情報技術・輸送技術の進展により、国境を越えた経済活動は今よりも一層飛躍的に増大
世界全体の人口増加
新興国発展途上国の経済成長

脅威

新興国との価格競争
資源・エネルギー、原油価格、食料価格高騰
産業空洞化、経済活動、人材、富の海外流出
日本の経済力の縮小による、国際社会における存在感の急速な低下

内部環境

強み

高齢化、防災等の対策
日本人の底力(潜在力)

弱み

人口減少。20歳から65歳までの生産年齢人口は半減
人口構成。急速な高齢化、人口の逆ピラミッド化
資源・エネルギー制約や環境問題
経済成長率がマイナスが予想され国民の所得や消費は低迷、全般的な貧困化
将来現状の生活水準を維持できそうにない
高齢化が急速に進み現役世代がより少なくなるため、高齢者層の生活を支えることは著しく困難
国内における国債消化も難しくなり金融・経済危機、経済・財政・社会保障が破綻する恐れ
民間の活力・創意工夫を阻む政治・経済・社会の制度
政府が特定の分野を決めて資源を集約させることへの限界と弊害
先進国であり明確な目標となるような国が存在しない
世界で活躍する人材がいない
学び直しできるというセーフティーネットがない
解雇・転職が怖い社会
環境変化に適応できない個々人
地方が世界の多様性とつながっていない
全ての世代に安定した働き場所が提供されている新産業がない
真面目にやって“失敗”した人々に再チャレンジが広く認められる社会となっていない
失敗・挫折が評価されるような環境がない
海外からの自由な投資を引きつけられていない
過度な社会保障給付やしがらみのある歳出を抑制・カットする強い姿勢がない
海外人材から魅力的と思われていない、誘致できない
日本の叡智を結集し、イノベーションを次々と創出することができていない
海洋にある豊富な資源を眠らせたままだ
国際的なルールメーキングに積極的に関与していけるような体制がない
強固な世界的人的ネットワークの形成がされていない
世界的な競争が平等にできるビジネス環境の整備がされていない
社会保障に約 30 兆円支出する一方、次世代への投資である教育には約4兆円か投じられていない
マイナンバー制度の導入ができておらず国民の適正な所得把握ができていない
雇用調整助成金により敗退すべき衰退産業産業、企業が延命されている
未来を搾取する社会になっている
介護産業等に就職するには、社会福祉士介護福祉士ホームヘルパー等の資格取得が必要となっている場合が多く、中高齢者や女性が介護等の職業に転職する上で、難しい資格取得が障壁となっている
保育士資格などの資格要件が強化され職業が硬直させられている
職業紹介業など民間参入の裁量が狭い
第3号被保険者の適用要件が女性就労の壁となっている
労使間の交渉で定年年齢を設定することができない
暗記博士が認められ、より創造的な発想ができる人を評価できる教育体制がない
大学の質的充実に向けたインセンティブが働きやすい環境がない
自治体の努力と創意工夫を最大限に引き出すための自治体裁量がない
自治体の執行について事後的な成果評価をする仕組みがない
東京圏と地方との格差がひどい
グローバル人材を各地方で積極的に受け入れていく体制がない
成長の源泉である民間の活力が奪われている
成長性の低い分野から高い分野へ生産要素のシフトがなされない
多くの労力を注いでも既得権益の壁を突破できず規制改革することが難しい
農業を成長・輸出産業にすることができていない
待機児童や待機老人のように参入規制により供給が制限されている分野・地域が存在する
先進諸国と比較して非製造業の海外展開が遅れている
生活保護費は約 3.5 兆円と 10 年前から約 1.5 兆円も拡大している
高齢者医療や介護制度のために多額の公費を投入されている





弱みの部分、重複、類似がかなりあるのでもう少しまとめられそう。


紅茶屋さんの個人的所感

いやー、弱みばっかりだね。内閣官房 国家戦略室がつくってるのに、ほとんどが最終的には現状の制度上の弊害を指摘しているとか。まあ、だからこう変えましょうという提言なのでしょう。


新陳代謝という文字が多く踊っていましたが、新規参入により市場が活性化するのはその産業が他の産業より1社でも標準より高い利益を得ている会社がある場合のみだけです。問題はそこ。
政府などの”規制当局”は、産業やマーケットを完全競争に押上げ、社会的厚生を最大限に押し上げるように機能します。だけれども日本の規制当局は、独占的市場、例えば電力業界など非常にわかりやすいですだが、独占企業、または寡占企業の参入障壁として保護するために機能しているようです。
放送業界、医療、薬事、保育、金融、自動車、不動産、農業、冠婚葬祭、理容、教育、マッサージに至るまでもうなんでもいいですけど、新規参入をしようとしたときに、先行企業の意図的な抑止よりも先に法手続きとしての、参入がそもそもできないものばかりです。なにをやるにしても資格や免許が必要であります。


社会的厚生が高い状態であるとは、消費者が安くいいものやサービスを手にいれられる状態のことです。
完全競争状態である市場は、寡占状態である市場よりも消費者がうける恩恵は大きくなります。そのため規制当局は企業が独占や寡占にならぬよう、法律や監視監督により競争状態を高い状態にするようになります。その結果、企業の利益は他の業界と同水準にまで押し下げられ、産業として成熟します。逆に企業はマーケットの独占者になるべくモノポリーを目指すわけです。



で、やっぱり問題はここなのです。モノポリーである企業を諌めるのが規制当局なのですが、日本の場合はモノポリー側についています。しかも消費者を守るという名目で。明治維新と財閥にまでなった政商を考えれば近代日本の成り立ちとしていたしかたないのですが、社会的厚生をあげるための規制当局が、企業の寡占市場を守るためのもの一定の既得権益を保護するための新規参入規制当局として機能しています。これが硬直性の主な理由で世界で最も成功した社会主義国とまで言われる所以です。別に生活するうえでは、社会主義でも共産主義でも新自由主義でもなんで回ってりゃいいんだけど、回らなくなったら適時変えてくれよなって感じです。いまはそれをどう呼称するのかはわかりませんが、人口縮小段階において、暗黙的談合を規制当局がやったままなのが回らなくなっている主な原因なのではないかと思っています。


電力業界などを見ればわかりやすいですよね。政府規制により「社会的厚生」があがるんじゃなくて「会社の福利厚生」があがっちゃってます。笑えないんですけど、笑い話しみたいだけど。独占企業の利益は押し下げられず適切な競争がなされないための規制当局になってます。


海外からはここらへんのキセーがとても奇異に見えるようで、よく書かれているのを目にします。
最近読んだ本にいくつか事例がかかれてたので、ちょっと例を拾うよ!


日本のビール製造業界についての記述があり、とてもおもしろかったのでご紹介。
酒類の業界は、ビールの製造免許をとるには、財務省から製造免許を取らなければなりませんが、製造免許を受けたのち1年以内に350ml缶で17万本の最低製造数量基準を満たさなければいけないそうです。(本では、申請するのにと書かれていましたが、今日現在の最新を調べたら「1年後には」になっていました。大蔵省とあったので、地ビールとか騒がれたタイミングで緩和されたのかな?)

もうひとつの例、スロットマシン。
外国の企業が参入しようとしたが、日本のスロットマシンの基準に合致せず排除されてしまった。この基準は業界団体のメンバーにしか知らされず、その業界団体のメンバーになるには日本で3年以上スロットマシンの製造をおこなっていなければならないそうだ。



つまり、矛盾する条項により守っているわけですね。日本で生活とか商売とかしていると、ある、あるこういうの!みたいな心当たり多くありますよね。そもそも規制や法律、附則同士が矛盾してなんだこれみたいな。アメリカだとこういうのをキャッチ22っていうんだって。板挟みサンドイッチ状態。法の不遡及で、すでにいる人を守らるようなバリケード



まあ、こういう既得権益も、それでうまく回っている間はガラパゴス化結構なのだけど、回らなくなると、競争力とは別のところで進化しちゃった競争力のない生き物だらけで、なにかの拍子にまとめて絶滅ということになるので怖い。他の会社に行ったらなんの役にもたたない仕事で熟練しちゃったみたいな。つぶし効かないじゃないですか。



使えない人材を大量につくりだして、全体として生産性を下げていては利用者の厚生は守られず、業界でみても国際競争力も同時に奪われることになる。かなしいね。かなしい坂だ。

かなしい坂 由来
http://genki365.net/gnkf04/pub/sheet.php?id=287
玉川上水の工事(略)掘削して導水していました。しかし水はこの坂あたりで地中に浸透してしまい、工事は失敗に終わってしまったとされています。この工事の責任を問われて処刑された役人たちが、「かなしい」と嘆いたことからこの名がついた

昔の公金をあずかる役人はしくじると処刑されてたんだけどな。



まあ、また規制緩和しようというと揉めるんだろうねー。
議論レベルでぐらいなら揉めたほうがいいと思うけどね。個人的には。




他参考

内閣官房 国家戦略室 フロンティア分科会

◎柳川 範之  東京大学教授 大学院経済学研究科・経済学部 
○武田 洋子  三菱総合研究所 政策・経済研究センター主席研究員 /チーフエコノミスト
秋山 咲恵  株式会社サキコーポレーション 代表取締役社長 
井川 直樹  愛媛パッケージ株式会社 代表取締役社長 
鎌田  由美子              東日本旅客鉄道株式会社 事業創造本部地域活性化部門部長 
川上 量生  株式会社ドワンゴ 代表取締役会長 
小松  万希子             小松ばね工業株式会社 取締役社長 
齋藤ウィリアム浩幸  株式会社インテカー創業者兼最高経営責任者 
瀬田 史彦  大阪市立大学 大学院創造都市研究科 准教授 
戸堂 康之  東京大学教授 大学院新領域創成科学研究科 
南部 友成    経済産業省経済産業政策局産業構造課課長補佐 
新浪 剛史  株式会社ローソン 代表取締役社長CEO 
星野 佳路  株式会社星野リゾート 代表取締役社長 
山川  清徳                 財務省大臣官房政策金融課課長補佐 

メンバー構成よくわからないなー、このサキコーポレーションって基盤屋さんじゃなかったっけ?
ドワンゴに、ローソン? 星野リゾートはよく出てくるからあれとしても、ばねにパッケージの会社かー愉快な顔ぶれだ。誰が集めたのだろう??



わが国ビール産業の競争政策と競争戦略 富田 輝博
http://www.bunkyo.ac.jp/faculty/lib/slib/kiyo/Inf/if31/if3107.pdf

地ビール製造免許の申請手続きについて教えてください。
http://www.nta.go.jp/shiraberu/senmonjoho/sake/qa/03/27.htm

*1:テレビアニメの設定です。サザエさんは昨年65週年だったそうです。

えぇー40歳で引退だって?じゃぁボクも引退なんだねカツオくん?

いやだなぁ、マスオさんは28歳じゃないか。*1
40歳どころか、プログラマなんて35歳定年制だっつうの。

雇用流動化へ「40歳定年を」 政府が長期ビジョン
http://www.nikkei.com/article/DGXNZO43478440X00C12A7EA2000/
管理職に変わる人が増える40歳での定年制もできる柔軟な雇用ルールを求めた。
...
もっとも定年制の前倒しには労働者の強い反発が必至だ。


原文を読んだら、あらあらあら、なんでこんな記事になっちゃったかなという感じ。
労使の対立構造にもっていきたかったのかな?

内閣官房 国家戦略室 フロンティア分科会
http://www.npu.go.jp/policy/policy04/archive06.html
第4回 フロンティア分科会 配布資料
http://www.npu.go.jp/policy/policy04/archive06_04.html#haifu
資料3  繁栄のフロンティア部会報告書
http://www.npu.go.jp/policy/policy04/pdf/20120706/shiryo3.pdf

バラ色の未来だー的な提言から始まっていて、目指すべき 2050 年の繁栄の姿 が実現できなさそう過ぎて涙がでてくる。「40歳で引退」という見出しがいかに釣りかはこの配布資料を読めばわかるのだが、実際それで興味がでて本文までたどり着いたので日経グッジョブというべき、なのか・・・?


理想や解决策は人によって大きく違いがあろうが、ここで問題として提議されている環境予測について異論のある人はあまりいないのではないだろうか。
この部分がよく書かれているが、文中で「こういう問題があるので、こういう風に解決したい」と、五月雨式にかかれていて、まとめられていない。


だが理想ということは裏返せば今はそうなっていないという事だ。
なんで、現状理解のために裏返してみた。


理想が多いぶん、弱みばかりになってしまった・・・
ちょっとSWOT分析的にかいてみた〜



外部環境

機会

情報技術・輸送技術の進展により、国境を越えた経済活動は今よりも一層飛躍的に増大

脅威

世界全体の人口も増加
新興国発展途上国の経済成長
新興国との価格競争
資源・エネルギー、原油価格、食料価格高騰
産業空洞化、経済活動、人材、富の海外流出
日本の経済力の縮小による、国際社会における存在感の急速な低下

内部環境

強み

高齢化、防災等の対策
日本人の底力(潜在力)

弱み

人口減少。20歳から65歳までの生産年齢人口は半減
人口構成。急速な高齢化、人口の逆ピラミッド化
資源・エネルギー制約や環境問題
経済成長率がマイナスが予想され国民の所得や消費は低迷、全般的な貧困化
将来現状の生活水準を維持できそうにない
高齢化が急速に進み現役世代がより少なくなるため、高齢者層の生活を支えることは著しく困難
国内における国債消化も難しくなり金融・経済危機、経済・財政・社会保障が破綻する恐れ
民間の活力・創意工夫を阻む政治・経済・社会の制度
政府が特定の分野を決めて資源を集約させることへの限界と弊害
先進国であり明確な目標となるような国が存在しない
世界で活躍する人材がいない
学び直しできるというセーフティーネットがない
解雇・転職が怖い社会
環境変化に適応できない個々人
地方が世界の多様性とつながっていない
全ての世代に安定した働き場所が提供されている新産業がない
真面目にやって“失敗”した人々に再チャレンジが広く認められる社会となっていない
失敗・挫折が評価されるような環境がない
海外からの自由な投資を引きつけられていない
過度な社会保障給付やしがらみのある歳出を抑制・カットする強い姿勢がない
海外人材から魅力的と思われていない、誘致できない
日本の叡智を結集し、イノベーションを次々と創出することができていない
海洋にある豊富な資源を眠らせたままだ
国際的なルールメーキングに積極的に関与していけるような体制がない
強固な世界的人的ネットワークの形成がされていない
世界的な競争が平等にできるビジネス環境の整備がされていない
社会保障に約 30 兆円支出する一方、次世代への投資である教育には約4兆円か投じられていない
マイナンバー制度の導入ができておらず国民の適正な所得把握ができていない
雇用調整助成金により敗退すべき衰退産業産業、企業が延命されている
未来を搾取する社会になっている
介護産業等に就職するには、社会福祉士介護福祉士ホームヘルパー等の資格取得が必要となっている場合が多く、中高齢者や女性が介護等の職業に転職する上で、難しい資格取得が障壁となっている
保育士資格などの資格要件が強化され職業が硬直させられている
職業紹介業など民間参入の裁量が狭い
第3号被保険者の適用要件が女性就労の壁となっている
労使間の交渉で定年年齢を設定することができない
暗記博士が認められ、より創造的な発想ができる人を評価できる教育体制がない
大学の質的充実に向けたインセンティブが働きやすい環境がない
自治体の努力と創意工夫を最大限に引き出すための自治体裁量がない
自治体の執行について事後的な成果評価をする仕組みがない
東京圏と地方との格差がひどい
グローバル人材を各地方で積極的に受け入れていく体制がない
成長の源泉である民間の活力が奪われている
成長性の低い分野から高い分野へ生産要素のシフトがなされない
多くの労力を注いでも既得権益の壁を突破できず規制改革することが難しい
農業を成長・輸出産業にすることができていない
待機児童や待機老人のように参入規制により供給が制限されている分野・地域が存在する
先進諸国と比較して非製造業の海外展開が遅れている
生活保護費は約 3.5 兆円と 10 年前から約 1.5 兆円も拡大している
高齢者医療や介護制度のために多額の公費を投入されている





弱みの部分、重複、類似がかなりあるのでもう少しまとめられそう。


紅茶屋さんの個人的所感

いやー、弱みばっかりだね。内閣官房 国家戦略室がつくってるのに、ほとんどが最終的には現状の制度上の弊害を指摘しているとか。まあ、だからこう変えましょうという提言なのでしょう。


新陳代謝という文字が多く踊っていましたが、新規参入により市場が活性化するのはその産業が他の産業より1社でも標準より高い利益を得ている会社がある場合のみだけです。問題はそこ。
政府などの”規制当局”は、産業やマーケットを完全競争に押上げ、社会的厚生を最大限に押し上げるように機能します。だけれども日本の規制当局は、独占的市場、例えば電力業界など非常にわかりやすいですだが、独占企業、または寡占企業の参入障壁として保護するために機能しているようです。
放送業界、医療、薬事、保育、金融、自動車、不動産、農業、冠婚葬祭、理容、教育、マッサージに至るまでもうなんでもいいですけど、新規参入をしようとしたときに、先行企業の意図的な抑止よりも先に法手続きとしての、参入がそもそもできないものばかりです。なにをやるにしても資格や免許が必要であります。


社会的厚生が高い状態であるとは、消費者が安くいいものやサービスを手にいれられる状態のことです。
完全競争状態である市場は、寡占状態である市場よりも消費者がうける恩恵は大きくなります。そのため規制当局は企業が独占や寡占にならぬよう、法律や監視監督により競争状態を高い状態にするようになります。その結果、企業の利益は他の業界と同水準にまで押し下げられ、産業として成熟します。逆に企業はマーケットの独占者になるべくモノポリーを目指すわけです。



で、やっぱり問題はここなのです。モノポリーである企業を諌めるのが規制当局なのですが、日本の場合はモノポリー側についています。しかも消費者を守るという名目で。明治維新と財閥にまでなった政商を考えれば近代日本の成り立ちとしていたしかたないのですが、社会的厚生をあげるための規制当局が、企業の寡占市場を守るためのもの一定の既得権益を保護するための新規参入規制当局として機能しています。これが硬直性の主な理由で世界で最も成功した社会主義国とまで言われる所以です。別に生活するうえでは、社会主義でも共産主義でも新自由主義でもなんで回ってりゃいいんだけど、回らなくなったら適時変えてくれよなって感じです。いまはそれをどう呼称するのかはわかりませんが、人口縮小段階において、暗黙的談合を規制当局がやったままなのが回らなくなっている主な原因なのではないかと思っています。


電力業界などを見ればわかりやすいですよね。政府規制により「社会的厚生」があがるんじゃなくて「会社の福利厚生」があがっちゃってます。笑えないんですけど、笑い話しみたいだけど。独占企業の利益は押し下げられず適切な競争がなされないための規制当局になってます。


海外からはここらへんのキセーがとても奇異に見えるようで、よく書かれているのを目にします。
最近読んだ本にいくつか事例がかかれてたので、ちょっと例を拾うよ!


日本のビール製造業界についての記述があり、とてもおもしろかったのでご紹介。
酒類の業界は、ビールの製造免許をとるには、財務省から製造免許を取らなければなりませんが、製造免許を受けたのち1年以内に350ml缶で17万本の最低製造数量基準を満たさなければいけないそうです。(本では、申請するのにと書かれていましたが、今日現在の最新を調べたら「1年後には」になっていました。大蔵省とあったので、地ビールとか騒がれたタイミングで緩和されたのかな?)

もうひとつの例、スロットマシン。
外国の企業が参入しようとしたが、日本のスロットマシンの基準に合致せず排除されてしまった。この基準は業界団体のメンバーにしか知らされず、その業界団体のメンバーになるには日本で3年以上スロットマシンの製造をおこなっていなければならないそうだ。



つまり、矛盾する条項により守っているわけですね。日本で生活とか商売とかしていると、ある、あるこういうの!みたいな心当たり多くありますよね。そもそも規制や法律、附則同士が矛盾してなんだこれみたいな。アメリカだとこういうのをキャッチ22っていうんだって。板挟みサンドイッチ状態。法の不遡及で、すでにいる人を守らるようなバリケード



まあ、こういう既得権益も、それでうまく回っている間はガラパゴス化結構なのだけど、回らなくなると、競争力とは別のところで進化しちゃった競争力のない生き物だらけで、なにかの拍子にまとめて絶滅ということになるので怖い。他の会社に行ったらなんの役にもたたない仕事で熟練しちゃったみたいな。つぶし効かないじゃないですか。



使えない人材を大量につくりだして、全体として生産性を下げていては利用者の厚生は守られず、業界でみても国際競争力も同時に奪われることになる。かなしいね。かなしい坂だ。

かなしい坂 由来
http://genki365.net/gnkf04/pub/sheet.php?id=287
玉川上水の工事(略)掘削して導水していました。しかし水はこの坂あたりで地中に浸透してしまい、工事は失敗に終わってしまったとされています。この工事の責任を問われて処刑された役人たちが、「かなしい」と嘆いたことからこの名がついた

昔の公金をあずかる役人はしくじると処刑されてたんだけどな。



まあ、また規制緩和しようというと揉めるんだろうねー。
議論レベルでぐらいなら揉めたほうがいいと思うけどね。個人的には。




他参考

内閣官房 国家戦略室 フロンティア分科会

◎柳川 範之  東京大学教授 大学院経済学研究科・経済学部 
○武田 洋子  三菱総合研究所 政策・経済研究センター主席研究員 /チーフエコノミスト
秋山 咲恵  株式会社サキコーポレーション 代表取締役社長 
井川 直樹  愛媛パッケージ株式会社 代表取締役社長 
鎌田  由美子              東日本旅客鉄道株式会社 事業創造本部地域活性化部門部長 
川上 量生  株式会社ドワンゴ 代表取締役会長 
小松  万希子             小松ばね工業株式会社 取締役社長 
齋藤ウィリアム浩幸  株式会社インテカー創業者兼最高経営責任者 
瀬田 史彦  大阪市立大学 大学院創造都市研究科 准教授 
戸堂 康之  東京大学教授 大学院新領域創成科学研究科 
南部 友成    経済産業省経済産業政策局産業構造課課長補佐 
新浪 剛史  株式会社ローソン 代表取締役社長CEO 
星野 佳路  株式会社星野リゾート 代表取締役社長 
山川  清徳                 財務省大臣官房政策金融課課長補佐 

メンバー構成よくわからないなー、このサキコーポレーションって基盤屋さんじゃなかったっけ?
ドワンゴに、ローソン? 星野リゾートはよく出てくるからあれとしても、ばねにパッケージの会社かー愉快な顔ぶれだ。誰が集めたのだろう??



わが国ビール産業の競争政策と競争戦略 富田 輝博
http://www.bunkyo.ac.jp/faculty/lib/slib/kiyo/Inf/if31/if3107.pdf

地ビール製造免許の申請手続きについて教えてください。
http://www.nta.go.jp/shiraberu/senmonjoho/sake/qa/03/27.htm

*1:テレビアニメの設定です。サザエさんは昨年65週年だったそうです。